研究課題/領域番号 |
20K00306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中本 大 立命館大学, 文学部, 教授 (70273555)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 五山文学 / 常信縮図 / 室町時代水墨画 / 漢画系画題 / 扇市 / 陸游 / 蘇軾 / 東坡笠屐図 / 狩野派 / 水墨画 / 鍾馗図 / 風神雷神 / 和漢論 / 銘 / 馬蝗絆 / 東山御物 / 角倉 / 画題 / 縮図 / 角倉家 / 日本文化 / 中国故事 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、本邦室町時代禅林で愛好された水墨画の題材である漢画系画題について、現存する絵画作例だけでなく、題画詩等の関連する文学作品や文字資料を主たる対象として調査・分析し、画題の典拠や背景となった中国故事や逸話を日本人が受容する際、どのように敬慕され、あるいは誤解されながら変容し、定着したのか明らかにすることを目的とする。具体的な研究方法は、データベース化された文学作品や古記録類や、未だ集成されてない五山禅僧や儒者の手になる別集などの典籍群や絵手本・縮図類等を視野に、題画作品や絵画作例を探索し、具体的な画題とその概要、その後代への影響を総合的に検討し、その成果を報告することを企図している。
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研究実績の概要 |
コロナ禍で研究計画の見直しを余儀なくされ、一年間の研究期間延長を申請せざるを得なかったものの、最終年度である2023年度、ほぼ予定通りの研究課題を遂行できたと考えている。最大の成果は、東京文化財研究所に所蔵される、河野元昭氏が代表を務められた1998年度から2001年度におよぶ科研費研究課題「探幽縮図の総合的研究」(基盤研究A 課題番号10301004)で撮影された「常信縮図」写真版の全画題分析を実施、終了したことである。画題分析は「故事・人物図」、とくに漢画系人物画題について重点的かつ詳細に行い、その結果を一覧データ化した。今後は分析したデータに基づく特長的な個別画題の研究を継続的に進める予定である。 個別画題の分析については、2023年度、室町時代中期の文明年間、相国寺の学僧・彦龍周興の周辺で受容された中国宋代の文物に関わる詩題および画題の研究を遂行した。具体的には「扇市」という中国唐代、長安の都市文化を代表する年中行事が、典拠である歳時記の記載を源泉に、扇を愛好した中国南宋の詩人、陸游のイメージをかたちづくる端緒となり、日本における新たな陸游像の展開をもたらす契機ともなり得たこと、それだけでなく日本における陸游詩のテキスト受容に関する示唆を与えたことにも考察を及ぼした。まさに「画題」への注目が、日本文学史への知見を深め、これまで掘り起こされていなかった文化的事象や詩題の周知につながる典型例を提示できたと考えている。 さらには本邦禅林において最も敬愛された文人である「蘇軾」の人物像を探るべく、その晩年、蘇軾の近くにおって彼を支え続けた愛妾・朝雲との関係に注目し、本邦五山僧が蘇軾の為人をどのように理解しようと努めたのか、という視点での研究を進めた。この研究の端緒となったのが「東坡笠屐図」という画題である。これらの成果は2024年度以降に活字化される予定である。
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