研究課題/領域番号 |
20K00309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
山下 則子 国文学研究資料館, その他部局等, 名誉教授 (40311162)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 近世演劇 / 近世歌舞伎 / 鶴屋南北 / 歌舞伎の素材 / 出版物と歌舞伎 / 中国小説から取材した歌舞伎 / 歌舞伎の「悪婆」の演技造型 / 出版物から取材した歌舞伎 / 近世中期学芸 / 歌舞伎 / 異分野融合 |
研究開始時の研究の概要 |
鶴屋南北作歌舞伎は『東海道四谷怪談』に見られるように、江戸時代後期の社会をリアルに表現する「生世話」とされているが、その素材として漢籍や蘭学に関係する近世中期の学芸に関わる作品があり、古典籍を用いて素材研究を行う必要がある。近世後期庶民娯楽の中心であった南北劇が、近世中期の平賀源内や森島中良との人的ネットワークを背景に生まれたものであり、その高度な学芸を素材として、劇空間で魅力的に「見せるもの」へと変化させたことを、古典籍を用いて実証する。これにより古典文学研究と演劇研究を融合させ、漢籍や蘭学などの近世後期庶民への受容が明らかになる。グローバルな視点を持つ絵画的要素の強い研究である。
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研究実績の概要 |
今年度は全5ケ年の研究期間の内の4年目にあたり、研究成果の発表を積極的に行うことができた。 2023年5月27日に、龍谷大学において開催された演劇研究会にて、「鶴屋南北作『桜姫東文章』の素材―江の島児ヶ淵伝説を中心に―」と題して学術発表を行った。これは鶴屋南北作歌舞伎において、江戸時代中期以降の庶民の開帳への参加行動が盛んにおこなわれた世相を背景として、児ヶ淵伝説と異なる作劇が行われたことを論証したものである。また、2023年11月26日には、国際共同研究「文化伝達のダイナミズムとスタティクス」第3回での学術発表「近世期『隅田川』ものの変容―松若の誕生と変貌―」は、鶴屋南北作歌舞伎『隅田川花御所染』に登場する松若を分析理解するために、中世稚児物語からの松若像を分析・考察して、南北劇の松若の特異性を明らかにしたものである。 2023年12月23日に、リモートにて参加した演劇研究会にて、「資料紹介『東都俳優手鑑』―文化後期役者の文事―」と題して学術発表を行った。これは新出資料の紹介であり、鶴屋南北が活躍していた文化後期に、上方から江戸下りして中村座に出演していた、3代目中村松江が蒐集した、当時の歌舞伎役者の自筆手鑑である。背景の歌舞伎上演を考察する中で、当時いかに南北作歌舞伎が群を抜いて人気があったのかを如実に知ることができ、観客の嗜好などを知ることができた。 2024年3月1日に、歌舞伎学会の会誌『歌舞伎 研究と批評』第68号掲載の学術論文「騙る悪婆―歌舞伎『お染久松色読販』と『今古奇観』―」が刊行された。昨年度にヴェネチア大学での国際学会でも発表し、英語の簡易な内容の論文を発表していたが、字数に限りがあり、英語であったため詳述できない部分があり、歌舞伎学会編集委員の承認を得て、再び詳細に論述した。論文は関連研究者達に配布した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鶴屋南北作歌舞伎が近世中期学芸を素材とすることを解明する研究は、予定の3分の2ほどが進んだといえる。南北の作品創造の背景にある、近世中期の知識人との交流や取材した出版物、更には取材した風俗(流行する開帳や見世物、巷談)などについて、具体的に明らかにしつつある。 2023年度の成果としては、研究を進めるにつれて、南北と知識人との交流ばかりでなく、その他の流行する風俗(開帳・見世物・巷談等)からの取材、南北歌舞伎に至るまでの芸能上の特質の変化という点に、考察の視点を広げる必要性を感じ、その方向に研究範囲を広げていることである。 また、まだ複数の著名南北作品の分析が中途であり、その完成を志さねばならない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は全5カ年の研究期間の4年目である。積極的に成果発表に努めたが、まだ著名な作品で取り上げていないものがある。 『隅田川花御所染』に関しては、関連する内容の研究発表を既にしているので、それを作品研究の形で結晶させる必要がある。同様に『桜姫東文章』についても、今年度研究発表をしたので、それを論文にまで精査結晶させる必要がある。また南北の代表作『東海道四谷怪談』については、研究を深める資料収集の段階である。 以上のように課題は多いが、道筋は見えている。しかし、あと1年で全てを完成させるのは、かなり無理があるかもしれない。
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