研究課題/領域番号 |
20K00316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
白井 伊津子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (40323224)
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研究分担者 |
平舘 英子 (平舘英子) 日本女子大学, 文学部, 研究員 (00099269)
西 一夫 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20422701)
田中 真理 九州産業大学, 基礎教育センター, 講師 (20573504)
奥田 俊博 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (30343685)
奥村 和美 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (80329903)
内田 賢徳 京都大学, 人間・環境学研究科, 名誉教授 (90122142)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 萬葉集 / 萬葉集巻十六 / 由縁 / 歌物語 / 説話 / 万葉集 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、歌と歌をめぐる話が、事実や「歌語り」の場から遊離して、虚構性、文芸性をどのように獲得していくのか、その追究のために、まずは基点とすべき『万葉集』巻16の由縁を記す歌について、「歌語り」の場、歌の背景、文字化された歌と由縁の作る作品世界などの分析をすすめるとともに、由縁を記さない誦詠歌、戯笑歌、数種の物を詠む歌、歌謡、怕ろしき物の歌についても、同様の視点から可能な限りその解釈を深めて、巻16の統一的な理解をはかるものである。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、まず4月から9月までの期間は、『萬葉集』巻十六の歌について、題詞・左注・歌の本文異同の検討、題詞・左注の漢語の出典の調査、歌の用字、歌と字音との関係の検討、奈良時代の衣食住に関わる生活全般や仏教思想、官人の実態解明など、多方面にわたる先行研究の調査を踏まえ、各種データベース等も活用しながら、緻密な読解分析を行った。本年度も、Zoomなどを用いながら、一部公開の研究発表会を都合8回開き、担当者による担当歌の研究報告と質疑応答を繰り返しながら検討を加えていった。その結果、巻16のすべての作品について、解釈の検討を終え、詳細な注釈原稿を整えた。 また、8月27日には関連する研究分野(科学研究費基盤研究B)「敦煌書儀・六朝尺牘文献の古代日本への受容実態の展開」(代表:信州大学 西一夫)および「平安朝における古代漢文学の質的変容解明にむけた空海作品からのアプローチ」(代表:筑波大学 谷口孝介)と共同し、「下級官人の文学」をテーマとして、講演会・シンポジウム(奈良女子大学古代学・聖地学研究センター主催 第19回「若手研究者支援プログラム」)を開催した。萬葉集巻十六の作者や享受者層の理解にあたって、律令制下に生きる下級官人のあり方や彼らの漢籍についての知識教養の内実を深く理解することを目指したものである。 10月以降は、各々の担当者が、歌の分析、検討の過程において生じた課題をさらに俯瞰的に追究し、『萬葉集』における巻十六という巻の有する独自性や、これまで平安朝の歌物語への階梯として位置づけられることの多かった、巻十六の由縁と歌のあり方に一石を投じる考察を導いている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
萬葉集巻十六の作品検討を終えることができたが、統一性をもった注釈として整備するために、引用する典籍とのつきあわせなど、繰り返しの原稿の確認が必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
『萬葉集』巻十六の全歌についての精緻な注釈原稿を完成させることに注力する。さらに、巻十六に作品を収める歌人の特徴、巻十六という巻の編纂の契機、『萬葉集』全体から見た巻十六の位置づけ、平安朝の歌物語の間との継承と展開という文学史的側面など、総合的な成果の集約に努めたい。
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