研究課題/領域番号 |
20K00325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
永井 聖剛 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 教授 (50387833)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 自然(思想としての自然) / 民友社 / 徳富蘇峰 / 宮崎湖処子 / 国木田独歩 / インスピレーション / ワーズワス / 自然思想 / 表現史 / 帰省 / 自然 / ワーズワース / 故郷 / 漢文脈 / 日本近代文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治20年代の思想・文学・ジャーナリズムの分野を先導した民友社の運動、なかでも、自然と人間との関わりをいち早く主題化した『帰省』(明23)をはじめとする小説作品の作者であり、日本におけるワーズワース思想の紹介者(『ヲルヅヲルス』明26)でもある宮崎湖処子の動向に焦点を当て、自然と人間との関係を書き募ることがいかにして近代文学の主題になり得たのか、その起源と生成過程との解明を目指すものである。これらの課題を、①民友社の刊行物に見られる「自然思想」の調査と検討、②『帰省』を中心とする宮崎湖処子の小説の再検討、③『ヲルヅヲルス』本文の検討、などを通して究明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、明治20年代の思想・文学・ジャーナリズムの分野を先導した民友社という複合的運動体の中でいかにして〈自然思想〉が胚胎し、民友社文学と呼ばれるテクストへと結びついていったのかを、主に、(1)民友社の刊行物および徳富蘇峰の言説に見られる〈自然思想〉の調査と検討、(2)民友社文学、特に『帰省』「自然児」などの宮崎湖処子の小説の再検討、といった観点から明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義として次の2点を挙げることができる。(1)これまで対立的に捉えられてきた「政治」と「文学」とを、民友社・徳富蘇峰の言説を再検討することで、〈自然〉という思想のもとで総合的に検証できる点。蘇峰においては政治も文学も〈人間の自然human nature〉が発現するもので、それは湖処子・独歩らに継承された。(2)近代的「個人」に裏付けられた〈表現主体〉の自明性を相対化する可能性が〈自然〉にはあるという点。坪内逍遙・二葉亭四迷を起源とするリアリズム系統の表現に加え、個人を包摂する〈自然〉を基点とした民友社的な文学表現を併せて見ることで、日本近代文学の表現史はより豊かなものになるはずである。
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