研究課題/領域番号 |
20K00327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
大津 直子 同志社女子大学, 表象文化学部, 准教授 (40551031)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 谷崎源氏 / 源氏物語 / 現代語訳 / 翻訳 / 発禁 / 検閲 / 内閲 / 文体 / 敬語 / 国文学 / 最高敬語 / 岡崎義恵 / 谷崎潤一郎 / 現代語訳/翻訳 / 出版史 / 国文学研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では谷崎源氏決定稿である〈新訳〉の生成過程を、一次資料である書き入れ草稿の分析を通して明らかにする。基本的には研究代表者が単独で草稿の画像収集、解析を進めるが、以前、若手研究(B)の採択期間に発足させた谷崎源氏研究会メンバー2名と逐次成果を共有する。毎年2回、京都、静岡、ソウルいずれかで研究会を行う予定である。 最終年度は、共同研究者以外の検閲や思想史の専門家を招き京都でシンポジウムを開催する。5年間の調査結果と古典文学研究、近現代文学研究、出版文化史などの他領域からの知見を総合することで谷崎源氏の成立過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年は2010年に執筆した「二つの谷崎源氏―國學院大學蔵『潤一郎新訳 源氏物語』草稿より見る一考察―」で論じた〈旧訳〉の削除の問題に結論を出すことが出来た。同居する異性に向けた性的なまなざしというタブー意識はいかなる配慮であったのか。昭和八年(一九三三)の歌舞妓の上映禁止や右翼政治家の日記の記述、平成三〇年(二〇一八)に紹介された谷崎の編集者宛書簡の内容に基づき、家庭内姦通を忌避する内務省内閲への配慮であったいう結論を導いた。 また、『平安女流文学論攷』(翰林書房、202303)に「谷崎源氏の誕生」を執筆した。谷崎が後半生で取り組んだ源氏訳は出版社中央公論社の一大プロジェクトであり、「谷崎源氏工房」乃至「谷崎源氏工場」 などと評されてきた。本稿では、編集者、訳者、校閲者らが遺した手記や回想録をふまえ「谷崎源氏工房」が立ち上がり運用されてゆくまでの経緯を合わせてみてゆくことで、谷崎源氏の始発にある理念「文学的翻訳」がどのように創出されたかについて考察した。 解明すべき最も大きな課題が決着したことにより、単著『谷崎源氏の基礎的研究』を出版すべく研究成果公開促進費(学術図書)を申請し、採択を受けた。近年一般社会や SNS 上で「表現の自由」が取りざたされることが増えた。本書が扱うテーマは検閲、筆禍にまつわる出版史という側面もあり、公権力が表現へ介入する実態、その生々しさを具体的に解明するものでもある。本書で明らかにした知見を中古文学以外の領域に拓き、「今」世に広く問うことには公益性が伴うと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は当初、諸領域の研究者と共同で進める計画を立てていた。コロナ禍により海外の研究者の来日が難しくなったこと、資料を所蔵する國學院大学図書館への調査も長らく許可が下りなかったことにより大きく方針を転換した。結果的に単独で考察をすすめたことが、この度の出版に結びついた。
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今後の研究の推進方策 |
2年ぶりに國學院大學を訪れ、資料の劣化が危惧されることを知った。資料保全について先方と相談し、アーカイブ化の可能性を探る。研究の活性化を促したいと考えている。
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