研究課題/領域番号 |
20K00332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
岩本 晃代 崇城大学, 総合教育センター, 教授 (20209406)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 村野四郎 / 『体操詩集』 / 修身教育 / 体操教育 / 教育制度史 / 自由律俳句 / オリンピック / モダニズム / 四季派 |
研究開始時の研究の概要 |
村野四郎は『体操詩集』(昭和14年)により日本近代詩史上「モダニズム詩人」として高く評価されてきたが、『体操詩集』所収詩を含め戦時下に極めて多様な詩を書いていたことについては論及されてこなかった。 本研究では、新資料を含めた作品年譜を作成し、その基礎研究をもとにして『体操詩集』を中心とした戦前の詩業を再検討する。特に開催中止となった東京オリンピック等の政治的影響及び「修身」教育の影響等の新たな観点から検証を行うものである。本研究は、学際的・多角的視点によって村野四郎を再評価するとともに、「モダニスト」として固定化している近代詩史上の位置づけを新たに見直すことを目的としている。
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研究実績の概要 |
3年目にあたる当該年度においては、令和3年度に活字化した「村野四郎初期作品資料―『体操詩集』前後の俳句資料を中心に―」の補遺を目的とした資料の収集を、書籍目録等を中心に行った。それと同時に、蓄積した資料をもとに、本研究の主たる目的である『体操詩集』の作品研究を行った。具体的には、モダニズム詩集として定説化された『体操詩集』を、体操教育及び修身教育等の教育制度史を視座に再検討し、戦時下の抵抗詩が含まれていることを新たに実証することである。『体操詩集』の最後に収録された「肋木」は、これまでの『体操詩集』研究においてほとんど注目されておらず、また「肋木」の初出の原題が「近代修身」であることも、これまでの研究において指摘されていなかった。本研究では収集した資料をもとに、この「肋木」と、『体操詩集』以後に刊行予定で結局未完となった『近代修身』に関する「近代修身」連作詩との関連から、『体操詩集』の再評価を行った。現在、その内容を論文にまとめ、活字化に向けて準備中である。 なお、新型コロナの影響が続いていたため、資料収集・調査研究を目的とした出張ができず、本研究に必要不可欠な当時の雑誌等を閲覧しての調査が進まなかった。よって3年目に完成を予定していた俳句以外の作品(詩・詩論・散文等)も含めた「村野四郎作品年譜」の作成を計画通りに進めることができなかった。一方、各種目録や目次等による調査は進めてきたので、今後データ整理と直接文献を閲覧しての調査が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
『体操詩集』の作品研究は進めることができたが、新型コロナの影響により、資料収集を目的とした調査研究に係る出張が全くできず、参考文献の収集、作品年譜作成のための新資料の発掘が極めて困難であった。とくに最も必要な当時の雑誌閲覧による調査が難しく、当該年度に完成予定であった「村野四郎作品年譜」の作成に支障をきたしたため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに実現できなかった「村野四郎作品年譜」完成のための資料収集に努めたい。今後、関係機関への調査研究を目的とした出張を行い、令和5年度には、詩・詩論・散文等を中心とした年譜を完成させて活字化する計画である。
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