研究課題/領域番号 |
20K00339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
林 正子 岐阜大学, 地域科学部, 非常勤講師 (30198858)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国民文化 / 地方文化 / 文化主義 / 田岡嶺雲 / 巌谷小波 / 小木曾旭晃 / 木村小舟 / 森鴎外 / 馬渕冷佑 / ハインリヒ・ハイネ / ドイツ思想文化受容 / 占領期日本 / 文芸雑誌 / ドイツ思想・文化 / 登張竹風 |
研究開始時の研究の概要 |
博文館「太陽」(明治28年1月~昭和3年2月)をはじめ明治・大正期の代表的雑誌に掲載された、田岡嶺雲、巌谷小波、登張竹風らの論説や作品におけるドイツ思想・文化受容の実相と意義を考察することによって、近代日本の知識人が「文化主義」提唱にいたる歴史的・思想的背景を明らかにする。 並行して、明治・大正期の「文化主義」提唱が昭和期の「地方文化運動」に果たした役割を明らかにする。具体的には、岐阜県出身の小木曽旭晃の著書や主宰した雑誌「地方文化」(昭和21年7月~24年9月)などの記事を分析し、「国民文化」の向上をめざす「文化運動」としての「地方文化」の実相と意義を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、近代日本の〈文化主義〉提唱におけるドイツ思想・文化からの影響と、地方文化と国民文化の関係性の一端を明らかにした。具体的には、田岡嶺雲が社会批評家・詩人としてのハイネ像をもとに展開した日本文明批評や、巌谷小波のお伽噺におけるメルヘンの影響について論じた。併せて、巌谷小波と木村小舟の作品を分析することによって、中央文壇からの地方文壇への影響の一面を明らかにした。関連して、小木曾旭晃の雑誌『地方文化』における地方文化論の有意義性を論じた。 さらに、森鴎外の「標準於伽文庫」編纂の意義を論じ、鴎外文学の登場人物の内面を投影する「分身」的存在についてハイネとの類縁性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、田岡嶺雲、巌谷小波、森鴎外らの論説・作品をドイツ思想・文化の受容の観点から考察する研究である。近代日本のドイツ系知識人たちによる〈文化主義〉提唱について、文学ジャンルにおいては(鴎外を除き)まとまった研究はなされていない現状において、先駆的な意義を有すると言える。 また、大正期の〈文化主義〉隆盛を受けての〈地方文化〉と〈国民文化〉の関係性を、岐阜県出身の文化人、小木曾旭晃、木村小舟の論説によって明らかにすることも、従来の研究にはなかったテーマである。ローカル・メディアが〈中央〉のジャーナリズムに対するオルタナティヴとして機能していたことを論じたことは、社会的な意義を有すると考える。
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