研究課題/領域番号 |
20K00341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2022) 大阪大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
蔦 清行 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (20452477)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 抄物 / 中世日本語 / 日本文献学 / 五山禅僧 / 林宗二 / 五山禅僧・五山文学・漢詩文 / 中世後期 / 国語学・文献学・日本語学 / 注釈・学問 / 五山文学 / 注釈 / 講義 / 黄山谷(黄庭堅) / 山谷抄 / 漢文 / 禅僧 / 蘇東坡(蘇軾) / 古文真宝抄 |
研究開始時の研究の概要 |
中世後期は、日本文学史の中でも、漢籍への学びが広くそして熱心に行われた時代である。そして抄物は、五山禅僧を中心に作られた、漢籍や仏典のカナ書きの注釈書である。 彼らの集積した知は、近世の文化圏にも継承され、文藝史・学問史に新たな展開をもたらす基礎となっていった。その意味で中世後期の漢籍の学問状況を研究することは、単にいわゆる五山文学等の個別研究にとどまらず、日本文藝史・学問史の流れを明らかにする重要な位置を与えられるものである。 従来抄物の受容面の研究はごく少なかった。本研究は、彼らが抄物をどのように利用し、再生産していったかを解明しようとするものである。
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研究成果の概要 |
研究期間全体を通じて、抄物を文化的資料として利用するという方法論の、理論的背景とその実際の方法のいずれについても、より精密な解像度で論じることができ、また得られた知見を公表することができた。最大の目的であった抄物をめぐる学問のネットワークについても、『古文真宝』の抄物を具体的事例として、 学僧たちの個人的な関係が、抄物という著作における学説の関係にも影響しているのではないか、という見通しを得ることができた。今回の研究課題では黄庭堅の詩の注釈が研究の中心であったが、今後、蘇軾やその他の詩人の作品についても、同様の方法によって研究を発展させることが期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題は、抄物を文化史的資料として解読する研究の一つであり、その方法論を標準化しようとした基礎研究と位置づけられるものである。抄物を編纂した五山禅僧らの知的ネットワークを、抄文の層を解剖的に分析することによって、解明しようとする方法を提案したこと、またいくつかの抄物において具体的にその重層性を明らかにした点に学術的価値がある。 中世後期は、能・狂言や茶道、懐石、生け花など、現代伝統文化の基礎が形成された時代である。当時の文化人の学問が、それらを生み出す土壌であった。彼らがどのように知的世界を形成していったかを明らかにしようとした点に、現代社会につながる本研究課題の社会的意義を主張する。
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