研究課題/領域番号 |
20K00359
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡邊 健 (渡邊健) 米子工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40760525)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 鳥取の和歌 / 近世後期 / 地方歌壇 / 類題和歌集 / 国学と和歌 / 資料調査 |
研究開始時の研究の概要 |
鳥取藩では近世後期に国学と和歌が盛んになり、多くの歌人を輩出した。本研究では、従来研究の進んでいなかった近世鳥取の和歌について、歌人の伝記資料を精査するとともに、個人歌集や当時の類題和歌集の調査・作品の分析を進め、その内実を解明する。また、鳥取県内の諸機関や旧家に残る和歌資料の調査と活字化を進め、その成果を学会や地域の市民に還元する。
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研究実績の概要 |
当該年度(2022年度)は当初提出した研究実施計画に基づき、近世後期の鳥取の和歌に関する資料の中から2点を翻刻・紹介した(下記①②。題目や発表媒体等は「10.研究発表(令和4年度の研究成果)」を参照、以下同じ)。 以下、当該年度の研究の成果の内容や意義等について述べる。①門脇重綾の和歌資料のうち、未だ学会に紹介、活字化されていなかった門脇重綾自筆和歌詠草の解読を進め、翻刻・解題を紹介した。幕末・明治維新期の鳥取を代表する歌人の一人である門脇重綾には『蠖園集』という歌集があるが、この作品は彼の死後、他者の手により編集されたものであり、その原資料や成立の経緯は未詳であった。今回、重綾自筆の資料を解読したことにより、歌集に収められた歌の原型を推定、あるいは歌集の本文を訂正しうる場合があることが明らかになった。また、重綾は鳥取藩、明治新政府に仕えた官僚であり、本資料に幕末・維新期の政局に関わる記述が見られることから、今後は文学のみならず、歴史資料としての活用も期待できると考えている。 ②『類題稲葉集』の翻刻作業を進め、その秋部の翻刻を紹介した。同集は、近世後期の鳥取の歌人をほぼ網羅した大部の歌集であり、この時期の鳥取の和歌の全体像を知る基礎的資料であるが、その活字化は初めてであり、江戸時代の和歌の研究にも資するものと考えている。 当該年度も一昨年来のコロナ禍により、当初予定していた資料調査を実施することが困難であったが、幸いにも天理大学教授の原豊二氏が所蔵する資料の一部について調査・撮影を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近世後期の鳥取の和歌資料の中、米子地域の歌壇に関する調査や研究に、当初の計画よりも時間がかかり、鳥取の国学者歌人の詠歌集成・伝記調査や、『類題稲葉集』の調査・研究に割く時間が減ったこと、また、コロナ禍による業務多忙化と遠隔地への移動自粛により、資料調査や参考文献の収集が遅れたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
Aこれまでの調査・研究の成果を踏まえ、幕末の米子歌壇の活動の実態と、全国的な類題和歌集との関わりについて考察した内容を7月9日の日本文学協会研究発表会で公表し、その後、論文として発表する予定である。また、B鹿島家の主要な和歌資料のうち、未だ活字化されていない「鹿島重正和歌詠草」の調査を進め翻刻、紹介する。C『類題稲葉集』の諸本調査を行うとともに解読を進め、その翻刻作業を下巻まで終了させる。 BCは本来21-22年度に行う予定であったが、Aの発表の前段階としての調査・研究が、当初予定していたよりも時間を要するものであったため、23年度に実施することとしたい。 なお、これまでの研究の進捗がやや遅れたことを考慮し、当初2023年度(4年目)の研究実施予定としていた『類題稲葉集』の成立過程研究については、必ずしも年度内に成果発表を目指さず、同集の翻刻作業の完成、諸本調査の終了を目指すこととする。
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