研究課題/領域番号 |
20K00364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
杉村 安幾子 日本女子大学, 文学部, 教授 (50334793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 戦争 / 美女表象 / 通俗小説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、①中国の通俗小説には、女主人公が美女ばかりであり、ほぼ必ず悲劇的結末を迎えるという特徴があること、②中国の現代文学史が読者の絶大な支持を得ていた通俗小説を無視し続けてきたこと、の2点の事実に着目し、通俗小説において美女に課せられた過酷な役割を分析することで、抗日戦争期中国の通俗小説の人気の所在や戦争と民衆の関係について解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は1940年代の通俗作家徐クと無名氏の作品を対象として、抗日戦争期における美女表象を分析したものである。 研究成果としては、以下の2点を指摘した。1点目は作品中の美女たちの死が二つに大別されることを明らかにしたことである。即ち、男性・家父長制によって犠牲になった受動的な運命、もう一つは愛国・民族のために自ら選択した主体的な運命である。2点目は、通俗小説とされる作品には、弱者がより弱者の立場に追いやられるという構図が見られるという指摘である。男性たちの大義名分の蔭で、不幸に陥る美女たちの系譜は、実は中国文学の伝統の中にも見出せ、今後の研究の進化・深化により中国文学研究全体への貢献につながる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中国本国では二項対立的な雅俗概念によって下位に置かれがちな通俗小説について、1940年代の作品分析を通じて抗日戦争期の読者の嗜好が明らかになった。それは、男性主人公の大義名分の下で、美しい女性登場人物はほぼ必ず不幸に陥るという特徴である。女性登場人物の美貌に課せられた不幸な運命は、民族主義的愛国心を強く鼓舞する役割が負わされている。こうしたジェンダー化された運命は、文学と政治が密接につながっていることを物語っているだろう。1940年代中国の通俗小説やジェンダー表象およびそれらの政治性に着眼した研究という点において、従来にない視点の提供となっており学術的意義は大きい。
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