研究課題/領域番号 |
20K00367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 達明 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90456814)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 韓愈 / 天人観 / 不平則鳴 / 荘子 / 唐宋変革 / 古文運動 / 霊感論 / 天人相関 / 霊感 / 受動性 / 天説 / 中国文学 |
研究開始時の研究の概要 |
韓愈の文学を基礎づける思想については、文学を「道」を伝えるための器とする載道の文学観によって説明されるのが常である。しかしながらこの文学観では、諧謔や自己戯画化など、韓愈の特徴とされる逸脱の方向性を持つ文学について、十分に説明ができない。 韓愈は伝統的な天人相関説に基づきながらも、天を人間と価値観を異にし、暴力的な面を持つ存在と捉えていた。本研究では、このような特徴的な天人観を鍵概念として導入し新たに検討することにより、韓愈の文学と思想を包括的に説明できる文学観の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、韓愈の天人観について再検討を行い、それが天人相関説の伝統的な枠組みを保持しながらも、天は人とは異なる価値観を持ち得るものとして捉えた特異なものであることを明らかにした。更にこの知見を用いて、「孟東野を送る序」について論じ、従来注目されてきた「不平」の文学論の他に、文学を天によって人が鳴らされるものと捉える、文学の動機における受動性の主張(「受動の文学論」)が見られることを指摘した。その上で、この序における「鳴」字の使用法を分析することにより、修辞法と文学論の両面において、『荘子』の影響が強く認められることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、以下の二点に整理できる。(1)従来守旧的な天人相関説として捉えられていた韓愈の天人観について新しい捉え方を示し、従来の柳宗元・劉禹錫を中心とした中唐の天人観の議論に新しい視角を提供した。(2)天人観に基づく分析により、「孟東野を送る序」に、「不平」の文学論の他に、西洋の霊感論にも通じる特異な「受動の文学論」の考えが見られることを明らかにし、それが韓愈の『荘子』の受容によってもたらされた可能性を示した。 韓愈は、日本の教科書にも取りあげられる重要人物であり、その基本的な思想や文学観について新しい見方を示したことは、社会的な意義を有する。
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