研究課題/領域番号 |
20K00378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
松家 裕子 追手門学院大学, 共通教育機構, 教授 (20215396)
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研究分担者 |
小南 一郎 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 名誉館長 (50027554)
磯部 祐子 富山大学, 大学本部, 理事・副学長 (00161696)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 宝巻 / 宣巻 / 口承文藝 / 戦瘟神宝巻 / 惜穀宝巻 / 紹興 / 安昌 / 二十四孝 / 目連戯 / 鄭振鐸 / 余治 / 浙江 / 講唱文藝 / 語りもの / 目連 / 免災 / 民間信仰 / 中国 / 宣卷 / 口承文芸 |
研究開始時の研究の概要 |
「宝巻」は中国近世の宗教文藝の中心をなすジャンルで、明代以降、大量の文字テキストが残るいっぽう、現在も中国各地で宗教儀礼また藝能として「宣巻」その他の名で上演が行なわれ、書承と口承の関係や、文字と無縁で生きてきた大多数の人々の生活や精神のありようについて多くを教えてくれる。本研究では、個別のテキストの読み解きとフィールドワークを継続・深化させるとともに、これらを踏まえたうえで、中国文化史全体をも視野に入れ、従来の時代別、地域別、作品別の研究を越えて、このジャンルを新しい視座から総合的に把握し、説明することを試みる。
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研究実績の概要 |
今年度(2023年度)も、中国における実地調査を行うことができなかった。これは残念なことであった。しかし、各研究者はそれを補うべく、文献資料、Web上の資料、過去の実地調査の収穫などを用いて研究を進めた。とくに、今年度は、本研究のまとめとしての報告書(冊子体)(A)を刊行することができた。 この報告書は、研究期間中過年度の成果である、松家「晩清『惜穀宝巻』的特点和作者」(中国語)(B)、磯部「浙江省における新型コロナウイルス禍下の曲芸」(C)、同「「戦瘟神宝巻」を読む」(D)、2023年度中、他媒体に発表した成果である松家「鄭振鐸『中国俗文学史』「宝巻」のために」(E)とあわせ、書き下ろしの小南「口承文芸の実演とテキストへの定着」(F)、磯部「2023年 紹興における地方「戯曲」及び「曲芸」の研究状況」(G)、研究協力者による要木(藤田)佳美「明清民国期の紹興市鎮経済初探 -安昌鎮経済史研究-」(H)を掲載、総ページ数172の充実した冊子となった。 また、報告書に収録した以外の今年度中の成果として、松家「『惜穀宝巻』と余治」(日本語。上掲中国語論文の増補版)(I)、宝巻とも深くかかわる二十四孝についての小南「宋遼金元の墓葬壁画と二十四孝伝承の展開(下)」(J)がある。 上記をまとめれば、2023年度、本研究では、文献調査と実地調査の両方を等しく重視する本研究グループの基本姿勢を確認し(F)、宝巻研究史を通観し(E)、宝巻の作品分析を進め(I)、宝巻を支えた社会についての理解を深化させた(H)ということができるであろう。 なお、多くの残額が生じていたことから、本研究の研究期間を2024年度まで延長した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は文献調査と中国における実地調査の両方を踏まえることを特徴としており、中国における実地調査が行なえていないことから、過去2年度は「やや遅れている」としてきた。しかし、この不可抗力による遅滞を別の方法で補うべく、各研究者は工夫しつつ研究を進め、今年度は、報告書の刊行を行なうことができた。したがって、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究グループが、中国における実地調査への強い希望をもつことは変わらない。2019年9月以来の実地調査の空白期間中に生じた疑問点も多い。実地調査を可能とする環境が整えば、積極的に実地調査を行ない、宣巻をはじめとする語りもの藝能の実演を観察し、また芸能者とりわけ老芸能者たちへのインタビューも行ないたい。 本研究グループは、今年度から、「中国民間講唱文藝研究 ー語りの「場」から考えるー」という題目のもと、科学研究費(基盤研究(C))を受けられることになった。この新しい科研費による研究とバランスをとり、また両研究をうまく接合させながら、本研究のまとめにふさわしい研究を行ない、成果を得たいと考えている。
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