研究課題/領域番号 |
20K00380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
菅原 慶乃 関西大学, 文学部, 教授 (30411490)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 幻灯 / スクリーン・プラクティス / 教育映画 / 女性観客 / 映画雑誌 / 映画説明 / 映画市場 / 映画館プログラム / 公共圏 / 映画観客 / 映画上映 / 支那劇研究会 / 映画配給 / 日中合作映画 / 通俗教育 / 上海YMCA / 異性装 / 『玲瓏』 / コンヴァージェンス・カルチャー / 教育市場 / プロパガンダ / ファン文化 |
研究開始時の研究の概要 |
中国映画史研究の領域では、政治宣伝メディアとしての映画の特性や採算性についての問題は実証されておらず、映画のプロパガンダ効果は自明のこととされてきた。 申請者は、映画の政治宣伝メディアとしての役割を解明するには、教養としての映画文化の確立や映画市場のグローバル化等、映画制作に加え受容状況も含めた考察が必須だと考え、基礎的研究を行ってきた。本研究はこれを発展させたものであり、新聞や雑誌、公文書等の一次資料に基づき、以下について明らかにする。 ①映画の学問化や再創作文化等、観客が担った「教養としての映画文化」の成立 ②抗日ナショナリズムの越境的流通を支えた「中国映画のグローバル市場」の実態の把握。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、中国語圏映画史研究に映画の配給・興行や、観客の受容の実像という観点を用いる新たな研究アプローチの構築を目的とするものであり、研究期間を通じて主に次の各点を明らかにした。(1)20世紀前半の中国における映画の普及の一端を「スクリーン・プラクティス」(チャールズ・マッサー)の観点から再考し、従前娯楽の観点からのみ考察されてきた国産映画の普及を、映画に先立つ幻灯上映や幻灯講演会というメディア・イヴェントと映画との連続性を明らかにし、両者の繋がりが後に国産映画制作会社が誕生する契機となったことを明らかにした。また、映画の教育的利用という観点に立てば、映画説明という行為が持っていた重要性について改めて掘り下げて考察する必要が生じた。そこで、20世紀を通じて文字や口述によって映画の理解を促進するための映画説明の技術の全体像を整理した。(2)1930年代に女性向けグラビア雑誌が普及し、また女性映画観客層が厚くなったことが映画制作会社にとっても無視できない影響を与え始めるようになったことを、女性たちの男装ブームと映画『化身姑娘』シリーズに焦点を当てて明らかにした。(3)20世紀前半の中国映画の海外進出にかんする実証研究を遂行し、1920年代に日本で初めて中国映画が上映された経緯を明らかにした。また、1920年代に中国映画がハワイ・ホノルルに進出した経緯を、映画の教育利用という(1)の観点から改めて整理した。 以上の研究を遂行するにあたり、従前研究資料として注目されてこなかった映画説明書(映画館プログラム)の研究的価値について再考する必要に迫られた。そこで、研究代表者が所蔵する映画説明書や映画特刊等のエフェメラ資料の整理と有効な活用方法について検討を加えた。メタデータや本文の分析の結果新たな研究計画に繋がることが明らかとなったため、今後研究プロジェクトを立ちあげ研究を継続する計画である。
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