研究課題/領域番号 |
20K00382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐藤 清人 山形大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (80178722)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 日系アメリカ人 / 強制収容 / Julie Otsuka / Cynthia Kadohata / ミステリー小説 / Dale Furutani / Naomi Hirahara / 共産主義 / 写真花嫁 / David Mura |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「強制収容」をテーマとする日系アメリカ人三世の文学作品を研究対象とする。「強制収容」を実際に体験したことのない三世の作家たちは、一世や二世が描く「強制収容」物語を参照して彼らの作品を創作せねばならなかった。彼らは一世や二世が残した文献(自伝、小説、短歌、俳句など)からどのような影響を受けたのであろうか。歴史が浅く、世代間の影響関係も希薄と思われがちな日系アメリカ文学の中にも、世代を超えて継承される伝統が存在することを明らかにしようとする試みである。
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研究成果の概要 |
日系アメリカ人二世の作家は太平洋戦争と強制収容所に関する自らの体験を基に「強制収容」の物語を書いた。一方、戦後生まれで、戦争体験のない三世の作家はどのようにして「強制収容」の物語を描いたのか。本研究は4人の日系アメリカ人三世の作品を分析し、そうした問題に答える試みである。三世作家の「強制収容」物語の内容は、基本的に二世作家の物語の繰り返し、もしくは模倣であり、新鮮味は少ない。しかし、三世作家は語りに斬新な手法を導入し、人種差別の問題を日系人固有の問題からより一般的な問題に敷衍し、ミステリ―によって読者を拡大するなど、二世作家の「強制収容」物語を発展させていることを本研究は解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は日系アメリカ人三世の作家が一世や二世の作家による「強制収容」物語を単に繰り返したのではなく、より発展させたことを明らかにした。同じ「強制収容」物語であっても、世代によってアプローチの方法は異なっているのである。世代の相違に着目する日系アメリカ文学の研究がこれまでなかったわけではないが、本研究はそうした視点の重要性をより鮮明にした。とりわけ、強制収容における人種差別の問題について、これまでは日系アメリカ人固有の問題と見なされることが多かったが、Cynthia Kadohataはそうした問題をアメリカのより一般的な人種差別の問題に引き上げることに成功したことを本研究は明らかにした。
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