研究課題/領域番号 |
20K00391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
野末 紀之 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (70198597)
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研究分担者 |
高橋 章夫 大阪公立大学, 大学院文学研究科, その他(移行) (10527724)
藤井 佳子 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (70379527)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 男性性の再定義 / 唯美主義 / 児童文学 / 第一次世界大戦 / 共感・共苦 / 少年間の友情 / 男性性 / 帝国主義 / キプリング / セクシュアリティ / 学校物語 / 近現代イギリス文学 / オスカー・ワイルド / コスモポリタニズム / アラン・ガーナー / ビリー・ブラッグ / ブレクジット / F・W・ファラ― / エドマンド・ゴス / イギリス文学 / 第一次大戦文学 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀後半から20世紀初頭のイギリス文学における男性性規範とそれに対する再定義の試み、および両者間にはたらく文化的・政治的ダイナミズム(相互作用と抗争)のありようを以下の三点から階級横断的に考察する。(1)ハイカルチャーに属する唯美主義文学の男性性、(2)おもに中産階級の少年を描く「学校物語」における男性性、(3)第一次世界大戦後の文学における男性性。すなわち、ナショナリズムと帝国主義の時代において、それと深く結びついたジェンダーをめぐる文学的表象に関する重層的研究である。
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研究実績の概要 |
代表の野末紀之は、ワイルド協会第47回大会(12月3日、実践女子大学)でのシンポジウム「ワイルドとその周辺における男性性の再定義をめぐって」において、男性性の孕む他者の身体への暴力を否定し、女性性をおびた「共感・共苦」を男性主人公の敏感な感受性のうちに取り込もうとするペイターの戦略について研究発表を行なった(題目「ペイターにおける審美化と「男性的」欲望」)。藤井佳子は、同じシンポジウムで「学校物語と男性性-Boy's Own PaperとTalbot Baines Reedの作品を中心に-」と題して研究発表を行なった。Reedの学校物語を『トム・ブラウンの学校物語』や『エリック、少しずつ成長』と比較した結果、それぞれ、忍耐や抑制といった精神的な男性性規範の表象、蔓延する少年同性愛の示唆、少年同士の「プラトニックな」愛情の描写といった違いがみられることを明らかにした。高橋は、研究論文「キプリングの「海の巡査」における男性性の表象」を『人文学論叢』第24号(愛媛大学人文学会、39-49頁)に掲載した。キプリングにおける男性性の揺れについて考察したものである。すなわち、戦争が進むにつれて、キプリングは、大戦初期に提示していた理想的男性性像を否定的に扱うようになり、より野蛮な表象を提示するにいたったことを論じた。いずれにも、それぞれの担当分野で科研テーマを追求した成果であるが、来年度は、各自の研究のまとめを行なうとともに、階級横断的な「重層性」により焦点を当てるべくつとめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ対策により海外での調査ができなかったため、当初の計画が進まなかった面は否定できない。とはいえ、野末と藤井は成果をシンポジウムで発表し、高橋は論文としてまとめることができたため、上記の評価としてよいと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
野末は、唯美主義の男性性にたいする女性作家からの批判の内実を調査するとともに、ペイター、J・A・シモンズらによる男性性再定義の試みについてさらに研究を進める。藤井は、パブリック・スクールを舞台にした作品を対象として、少年同士の友情と、友人間や教師から期待される「男らしさ」およびその変遷を探る。具体的には相模女子大学学術情報センター所蔵のReligious Tract Society関連資料とBritish Library所蔵資料を調査して、当時の社会的規範と教育が創りあげた「男らしさ」を明確にする。高橋は、コロナウイルスの影響でこれまで実施できなかった戦没者の追悼に関する資料調査を海外で行ない、戦後、男性性を再構築するにあたりキプリングが果たした役割を中心に研究を進める予定である。
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