研究課題/領域番号 |
20K00394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
吉野 由利 学習院大学, 文学部, 教授 (70377050)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | イギリス文学 / アイルランド文学 / ジェイン・オースティン / マライア・エッジワース / 正典形成 / 文学の受容 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、基盤C研究課題(16K02459)の成果を発展させ、ロマン派期英国・アイルランド小説の体系化を補い、英文学史を修正することである。特に、当時最も優れた小説とされながら、同時代の文学史に置いて位置付けが定まらないAustenの小説の正典化はヴィクトリア朝進んだとされるが、最大のライバルとされるEdgeworthの作品の正典性との逆転については、精査の大きな余地がある。研究課題16K02459で行ったジャンル論的比較研究の展開として、歴史的文脈を重視しながら19世紀を通じた文芸批評、作家肖像画や「作家の家」の表象の流通、文学観光を含めた受容を重点的に比較検証する。
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研究実績の概要 |
Covid-19の影響で年度中に予定していた海外資料調査を次年度以降に延期することになったが、国内で入手可能な資料の調査、国内関連学会・研究集会での学会活動に加え、ウプサラ大学Emma Clery教授の招聘を通し、引き続き最新の研究動向の把握を進めた。特に、Clery教授との意見交換や所属先研究機関で主催した講演会では、1970年代以降のオースティンとエッジワースの再評価の契機となったMarilyn Butlerの先行研究以降主流となっているロマン派期イギリスのフランス革命論争の文脈で政治言説との間テクスト性を重視する観点とは大いに異なり、エコクリティシズムを応用しつつ、ウィリアム・クーパーの著作、特に『課題』(1785)が19世紀初頭まで与えた文学的社会的影響力を重視する最先端の観点と手法に知見を深められたことは実に有意義であった。また、『ユリシーズ』刊行100周記念に呼応して構成した日本ジョンソン協会大会シンポジウムでの研究発表に関連する登壇者や出席者のとの意見交換、学際的に女性の権利、共感の文化とジェンダーの関係を探求した共編書の刊行を通し、グレイト・ブリテンとアイルランドの議会合同への文学的応答を近現代ヨーロッパの幅広い視野からオースティンとエッジワースの作品の意義を再検証することができた。『ラックレント城』(1800)、『ベリンダ』(1801)、『アイルランド英語の非合理表現』(1802)、『マンスフィールド・パーク』(1814)等における女性や先住アイルランド人、アフリカ出身奴隷の表象の特徴、特に言語的特性の表象の差異と同時代以降の受容を、特に文壇と女性作家の緊張関係を重視しながら分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の影響で年度中に予定していた海外資料調査を次年度以降に延期することになったが、Clery教授との意見交換や国内で入手可能な資料の調査、国内関連学会・研究集会での学会活動を通して、一定度補うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
海外資料調査は、今年度中に調査先で実施可能になった場合に行う。それまでは、引き続き国内で入手可能な資料やオンライン学会・研究会を活用する。
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