研究課題/領域番号 |
20K00401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
増田 久美子 立正大学, 文学部, 教授 (80337617)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 女性作家 / ジェンダー / 家庭性 / アウントフッド / 19世紀アメリカ女性小説 / 人種 / 共感 / 19世紀女性小説 / 女性性としての「おば」 / 領域論 / 19世紀アメリカ女性作家 / 領域批評 / 市民社会 / 19世紀アメリカ文学 / アメリカ女性作家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は19世紀アメリカ女性文学研究において、「おばであること/おばという女性性」(aunthood)という視座を新たに導入し、作品分析のさいに利用されてきた「男女の領域分離」の概念を再検討する。小説を中心とするテクストから「おば」を抽出・分析し、多層的な世代間交流にみられるジェンダー思想の伝承やその思想的変遷を検証することによって、従来の領域批評の限界点を取り払い、新しい作品解釈の可能性を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究は19世紀アメリカ女性文学研究における「男女の領域分離」の妥当性を再考し、作品を「おば」(aunthood)という視座から検証することを目的とした。「完全な市民権」のない女性たちがいかに「市民」として行動し、自立した自己像を形成しうるのか。その過程に、姪(ないし「姪」に相当する人物)にたいする「おば」の介入の行為と影響力を見いだし、その解釈の可能性を試みた。家庭における男性性(夫、兄弟、息子)から独立しつつ、完全に家族・親族関係から切り離されていない「おば」という女性性には、伝統的な共和国理念と女性市民性という新旧の価値観を姪の世代に伝える役割があったのではないかと考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の提唱する「おば」という新視点を導入することで19世紀の領域論を再考し、テクストにみる新しい女性の自己像および市民的行為の実現性を検証している。「おば」と姪のような多層的世代間にみられる価値観の継承と交流は、実母と実子に限定する近代的な養育のあり方に疑問を投げかけ、現代においても共有できる問題だと考えられる。さらに、これまでの二元論性や同時代世代の連関性を論じてきた領域論の限界点を取り払い、多層的な世代の交流を通じて捉えられるジェンダー思想を考察することにより、アメリカ女性文学研究に新しい領域批評の準拠枠を構築する可能性が模索された。
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