研究課題/領域番号 |
20K00403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金山 亮太 立命館大学, 文学部, 教授 (70224590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アングロ・サクソニズム / サヴォイ・オペラ / ブリティッシュネス / イングリッシュネス / ジャーナリズム / 愛国主義 / ゲルマン主義 / 優生学 / メロドラマ / 民族意識 / 言論操作 |
研究開始時の研究の概要 |
アングロ・サクソニズムが生成された過程でどのようなレトリックが用いられたかを、当時の文学や演劇作品および、それらを批評した各種のジャーナリズムが流布させた言説をも研究することで解明する。また、アングロ・サクソニズムがもたらした負の遺産として、アイリッシュ系を含む多民族への偏見が醸成されたこと、自らをゲルマン民族の一部と見なすことによって親ドイツ感情が国民の中で高まり、結果的に20世紀前半のドイツの暴走を止められなかったことなども指摘する。
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研究実績の概要 |
2023年度は2022年度の学外研究の成果の一端を発表すべく、2本の論文を執筆した。そのうちの1本は海外の雑誌に投稿したが、一次審査に入る前に議論の問題点が審査員から指摘されたためにいったん取り下げ、今年度に再度投稿することとなった。 もう1本の論文については以下の通り。ヴィクトリア朝の大衆演劇においてブリティッシュネスとイングリッシュネスが交錯する場としてサヴォイ・オペラの初期の代表作を取り上げ、そこに見られるダブル・アイデンティティの表象について論じた単著「"Englishman"の行方―『軍艦ピナフォア号』におけるイングリッシュネス表象の混乱―」を『立命館英米文学』第32号23~46頁に掲載することができた。これは、異なる人種によって構成される連合王国において、国としてのまとまりを表現するためのグレート・ブリテンという「記号」としてのアイデンティティではなく、自身の所属するエスニシティ(民族性)への固着が優先される場面を取り上げ、それはとりもなおさずヴィクトリア朝社会において暗黙の前提となっていた、「1つの国家に2つの国民」(ベンジャミン・ディズレイリ)という階級差別が無効になったことを示すことを論じたものである。サヴォイ・オペラが今日に至るまで英語圏の国々で広く上演され受容されていることの背景に、イギリス国内ではなく海外にいるからこそ自身の民族的アイデンティティに対する意識が高まること、言い換えるならば物理的あるいは心理的な距離感(リモートネス)が民族意識への過度な感情移入に繋がり、そこでは対象がロマン化され美化されるという、研究代表者が長年考え続けてきたテーマが支持されることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍はほぼ終息に向かいつつあるが、その副産物として、参考資料の出版延期や中止、海外出張の困難、さらには昨今の円高などが相まって、入手予定だった文献が手に入らず予定していた出張が果たせないなど様々な問題が起こった。その結果、研究期間の1年延長を願い出るより仕方がなかった。2023年度は辛うじて業績を1つ出せたことで少し安堵しているが、本来ならば最終年度にはまとまった研究成果を問う予定だったために残念な部分もある。1年延長によって得られた時間を有効に使い、何とか遅れを取り戻したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として目下考えているのは以下の二つである。 いったん取り下げた英語論文をブラッシュアップして再投稿を目指すことが一つ。もう一つは今年度中に論文をさらに2本執筆し、本来ならば単行本としてまとめる予定だった研究成果の核の部分を固めることである。現在の研究課題については既に論文を5本発表しており、今年度の2本を以てほぼ論ずるべき問題はカバーできると考えている。これらの原稿に序論や参考文献一覧などを加えて完成原稿にし、出版助成に応募することが最終目的となる。
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