研究課題/領域番号 |
20K00406
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小宮山 真美子 長野工業高等専門学校, リベラルアーツ教育院, 准教授 (30439509)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 19世紀アメリカ文学 / Claimant Narratives / 領土拡張主義 / 土地と不動産 / 死者と生者の空間 / ロマンスと倫理 / 死体ビジネス / 人工知能 / ナサニエル・ホーソーン / マーク・トウェイン / 爵位権継承 / イギリス荘園屋敷 / Materialization / AIテクノロジー / 南北戦争 / Cartography |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀のアメリカ文学における「イギリスの爵位継承権をめぐる物語」 (Claimant Narratives)というテーマに焦点を当て、獲得と占有のレトリックである空間の所有と、イギリスの「家系」が繋ぐ「相続」のシステムが、19世紀アメリカにとってどのような 欲望を掻き立てたかについて解明することを目的とする。アメリカが奴隷制をめぐり国内が二分された南北戦争を 挟み、アンティベラム期の物語としてナサニエル・ホーソーンの作品を中心に、ポストベラム期の物語としてヘンリー・ジェイムズやマーク・トゥエインの作品から本ジャンルの変遷を包括的に検証し、「所有」の概念の多層性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、19世紀のアメリカ文学における「イギリスの爵位継承権をめぐる物語」 (Claimant Narratives)というテーマに焦点を当て、イギリスの「家系」が繋ぐ「相続」のシステムがアメリカにとってどのような欲望を掻き立てたかについて解明することを目的とし、分析および検証を行った。19世紀を通して戯曲、小説、エッセイ、児童文学とさまざまな媒体で使われたクレイマント・ナラティヴは、アメリカ国家に内在する葛藤を長期スパンで映し出していることが明らかになった。とりわけ南北戦争を挟んで本テーマの扱い方は変化している。これらの考察を国内外の学会で研究発表を行い、論文にまとめて成果として発表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
“Claimant Narrative”というテーマは、アンティベラム期のナサニエル・ホーソーン作品では、アメリカ人が抱く「根なし草」という物理的な不安を満たすナラティヴで使われた。その一方で南北戦争後に本テーマを扱ったマーク・トウェインの作品では、英米両国をまたぐ遺産相続のテーマは副次的に扱われ、内戦で受けた喪失および民主主義国家アメリカの不安定な展望を「過去の知識の所有」構想へと展化していった。21世紀の見地から鑑みて、過去における知性を再利用できるデジタル空間の継承へと変貌を遂げた本テーマは、文学における科学技術構想の起点を考察できる点において、学術的・社会的に重要な意義を持つと考える。
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