研究課題/領域番号 |
20K00407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹内 康浩 北海道大学, 文学研究院, 教授 (40251376)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | サリンジャー / 鈴木大拙 / 禅思想 / 芭蕉 / アメリカ文学 / 禅 |
研究開始時の研究の概要 |
第二次大戦後のアメリカ文学を代表する作家J.D. サリンジャーは、亡くなるまでのほぼ半世紀の間、寒村の山荘に閉じこもって膨大な原稿を書きつづけた。本研究では、伝記的事実だけでなく、その思想形成に俳句や禅仏教などの日本文化が果たした役割や、未発表作品を含めた諸作品を考察することで、作家が世間から姿を消したことの積極的意義を解明する。 2019年、作家の遺族が、数々の遺稿を徐々に刊行していくと発表した。本研究は、それらの新作の適切な受容に万全を期すという今日的な役割も果たすことになろう。
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研究実績の概要 |
令和4年度における研究は、令和2・3年度に引き続き、パンデミックのためにアメリカ合衆国における調査・資料収集を控えざるを得ず、国内において調査および研究が可能な範囲で計画を遂行することになった。また、令和3年度に研究成果の一部を新潮社より『謎ときサリンジャー』(共著)で一般読者に向けて発表したが、令和4年10月にはその研究成果に対し、財団法人新潮文芸振興会が主催する第21回小林秀雄賞が授与され、高い社会的な評価を受けることになった。また、日本アメリカ文学会北海道支部大会(2022年12月17日札幌市立大学サテライト・キャンパス)において、共著者でサリンジャー研究者の朴舜起氏ならびに現代アメリカ文学を専門とする北海学園大学名誉教授本城誠二氏とともに同書をテーマにサリンジャー研究に関する対談を行い、本研究を幅広い視野にたってアメリカ文学史上に位置づける示唆を得た。具体的には、すでに日本の仏教研究者である鈴木大拙の芭蕉論がサリンジャーに与えた影響は同書に発表した研究においてあきらかにしているが、さらに仏教思想(あるいはさらに神秘主義的な思想全般)がアメリカ文学史全体に与えた影響を、古くは19世紀初頭の超絶主義者たちの思想(特にラルフ・エルドー・エマソンの思想の影響は、ポジティブあるいはネガティブなものも含めて大きい可能性がある)まで遡り、さらにはサリンジャーを経て1960年代のビート・ジェネレーションへとたどっていくことで、サリンジャーにおける禅の影響を、より歴史的な文脈で捉えるべき可能性を検討することになった。また、これらの研究成果を英語にて米国で公表する準備も順調に進展している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度から令和4年度まで、パンデミックにより海外出張を控えることとなり、当初計画をしていたアメリカ合衆国における調査・資料収集は行うことができなかった。そこで引き続き、国内において収集や調査が可能な資料を元にして研究を遂行することとなった。その成果の一部は、すでに小林秀雄賞の受賞として社会的な評価を受けている。さらに新たな研究成果とともに、英語による出版計画も比較的順調に進行していることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はパンデミックの影響もなく、海外での調査研究が可能となっている。今年度が最終年度であるため、当初計画していた資料調査のすべてを実施することは困難になったと言わざるを得ないが、しかし、本年度上半期において、ニューヨーク市モルガン・ライブラリー・ミュージアムが所蔵しているサリンジャーの書簡およびその関連文書の調査を行う計画である。またサリンジャーの未刊行作品が遺族によって刊行される予定であると報じられてからすでに数年経ち、ますます機は熟しているので、その刊行を瞠目して待ち、刊行された際には機動的に対応して研究を深めたい。仮にそれらが刊行されない場合においても、サリンジャー作品における仏教思想の影響に関する研究を、ひろくアメリカ文学史全体の中に位置づけながら進めていくことになる。それにより、サリンジャー独特の死生観を引き続き明らかにしていく計画である。
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