研究課題/領域番号 |
20K00417
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
三原 穂 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60593936)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シェイクスピア / ギャリック / スコットランド啓蒙 / オシアン / 『ダグラス』 / 学術編集 / バラッド / 劇中歌 / 歴史的批評 |
研究開始時の研究の概要 |
18世紀におけるシェイクスピア劇とその劇中歌との関連は十分に解明されていない。18世紀のシェイクスピア編集者と『古英詩拾遺集』編纂者トマス・パーシーとの関係に焦点を当てて、本文批評の立場から、シェイクスピアと劇中歌との関係性をこれまで明らかにしてきた。この成果に基づいて、上述の編集者たちがシェイクスピアと劇中歌との結びつきを希薄にしたという見解に異議を唱えるべく、本研究では、これら学術編集者だけでなく、シェイクスピア劇の上演者デイヴィッド・ギャリックもまた、シェイクスピア劇から劇中歌を切り離したのではなく、むしろ『拾遺集』の影響を受けて、シェイクスピアと劇中歌を強く関連付けたことを証明したい。
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研究実績の概要 |
令和5年度においては、昨年度に引き続き、デイビッド・ギャリック(David Garrick)を中心とする18世紀のシェイクスピアに関するテーマ(第一テーマ)とともに、スコットランド啓蒙とシェイクスピアというテーマ(第二テーマ)について、研究計画調書で示された研究目的の達成を試みた。 第一テーマの研究に関しては次のようにまとめられるだろう。ギャリックがシェイクスピア生誕200年祭においてシェイクスピアをbardと呼んだのは、ジェイムズ・マクファーソン(James Macpherson)によるオシアン(Ossian)詩の翻訳からギャリックが間接的に影響を受けたためであることがこれまで指摘されてきたが、本研究においてはマクファーソンとギャリックを直接結びつけ、マクファーソン及びアレクサンダー・カーライル(Alexander Carlyle)を含めたスコットランドの文人たちとの交流をギャリックが深めたからであることを明らかにした。 第二テーマに関しては、次のようにまとめられるだろう。スコットランド啓蒙と強くかかわる、ジョン・ヒューム(John Home)の悲劇『ダグラス』(Douglas: A Tragedy)とマクファーソンのオシアン詩翻訳は、シェイクスピアへの対抗意識の表れとみなされる。シェイクスピアを凌駕するスコットランドの国民詩人を創出するために、スコットランド啓蒙を担う文人たちは、classical geniusとして称賛されるホメロスを、native geniusすなわちCeltic bardのオシアンと重ね合わせて、オシアンの地位を高めようとする一種の神格化を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度までは、新型コロナウィルス感染拡大により、海外渡航が不可能であったが、令和4年度からは、海外渡航が徐々にしやすい状況となり、令和5年度からはコロナ禍以前のように、必要資料を海外の研究機関において閲覧することが可能となったため、研究を前進させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ギャリックは、膨大な学術資料を所有していたため当時のシェイクスピア編集者たち、特にジョージ・スティーヴンズに頼られる存在であり、『古英詩拾遺集』の編集者トマス・パーシーもギャリックとの交流を通して、彼からシェイクスピアの劇中歌に関する古資料を借り出した。このようなギャリックの学術面の研究を、昨年度における今後の研究の課題として指摘したが、研究四年度はこの面における研究が滞ってしまったため、この停滞を逆に契機としてとらえ、研究五年度には、研究計画調書において示した研究目的2の「ギャリックを加えた学術ネットワーク」の研究を推進する。
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