研究課題/領域番号 |
20K00441
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
竹内 勝徳 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (40253918)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | メルヴィル / ミレニアリズム / シオニズム / ハーマン・メルヴィル / 『クラレル』 / 終末論 / アメリカ例外主義 / 黙示録 / ディアスポラ / 宗教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はハーマン・メルヴィルの隠れた大作とされる長詩『クラレル-聖地における詩と巡礼』(1876年)における宗教的イメージを捉え直すことで、アメリカ合衆国が植民地時代から21世紀の覇権国家として君臨するまでの歴史において、この作品が政治的・宗教的にどのように位置付けられるかを考えるものである。とりわけ、19世紀から20世紀にかけて、ミレニアリズムやシオニズムという独特な宗教運動がトランスナショナルに展開する中、それらと既存の宗教の多様な関係性の中で、この作品がどのような読みを可能にするのかを考える。
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研究成果の概要 |
まず、2020年に単著『メルヴィル文学における<演技する主体>』を出版し、所収の『クラレル』論において、近代のキリスト教の危機や、アングロ・サクソン系民族による植民地主義や帝国主義、そして、そうしたアメリカ例外主義と連動して進行した政治的なシオニズムが提示されていることを明らかにした。また、2022年に発表した「メルヴィル小説におけるミレニアリズムと労働」では、『クラレル』の中で展開するミレニアリズムの発生過程を辿り、特に巡回説教師からの影響が大きかったこと、また、ミレニアリズムが世界主義的(Cosmopolitan)に変質していったことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現代においてもイスラエル建国の是非が問われ続けているが、それ以前の歴史や文化を含めてこの問題を捉えることは少なかったように思える。本研究はメルヴィルの『クラレル』という作品に焦点を当てて、ミレニアリズムと連動したシオニズムの発展やそれに対する多元的な見方を提示できたと考える。ウィリアム・V・スパノスは、ピューリタニズムという宗教的枠組みによって新大陸に建国されたアメリカが、マニフェスト・デスティニーやミレニアリズムの言説を用いて領土拡大に邁進した歴史と、ユダヤ人のために国家を建国したシオニズムの動きに必然的な合流点を認めている。その考え方をより具体的に論証したつもりである。
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