研究課題/領域番号 |
20K00444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
齊藤 みどり 都留文科大学, 文学部, 教授 (30759858)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | カリブ文学 / ジェンダー / ネオ・スレイブ・ナラティブ / 英語圏文学 / ポストコロニアル文学 / 比較文学 / 人種主義 / 奴隷制 / 英国の移民文学 / 人種 / フェミニズム / 人種差別 |
研究開始時の研究の概要 |
人種主義を問い直す:アンドレア・レヴィとゼイディ・スミスの作品の考察 近代国家の限界は、言語、人種、文化、国民の同一性を基盤としていることであり、その限界は近年問い直されている。カリブ海地域の作家たちは植民地思想と深く結びついた人種主義の空虚さを作品で考察してきたが、その姿勢こそがいまの日本で求められるものである。本研究では、ミックス・ルーツを持ち、さらなる研究が望まれる二人のジャマイカ出身の作家であるアンドレア・レヴィとゼイディ・スミスの作品における人種の表象に焦点を当てる。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、本年度も人種主義についてカリブ海域出身の作家の作品を中心に考察した。人種というカテゴリーと女性というカテゴリーが、資本主義、家父長制、奴隷制を通して強化された過程を辿り、引き裂かれた女性たちのつながりを復元することを試みた。昨年度と同じく、植民者と奴隷を祖先に持つジャマイカ出身の作家、アンドレア・レヴィの作品、The Long Song (2010)の考察を通じて、英国におけるネオ・スレイヴ・ナラティブの意味を考察した。 アンドレア・レヴィのThe Long Song は、ジュリーというひとりの女性の視点から、ジャマイカでの奴隷たちの生活の様子をいきいきと語り直したネオ・スレイブ・ナラティブである。しかし、この作品では、ジュリーだけでなく、著者やジュリーの息子の語りも織り交ぜられ、メタ小説と呼ばれる語りの形式がとられている。本年度の研究では、The Long Songに、なぜメタ小説の形式が用いられたのかを中心に分析した。メタ小説の形式を取ることで、「事実」とされた歴史もフィクションであることを明らかにし、事実とフィクションの境界を問い直すことから、奴隷制を支えた人種という概念もフィクションであると訴えているのではないかと考えた。 考察の結果は、2022年7月8日にzoomで開催された国際学会Society for Caribbean Studies 45th Annual Conference にて ’On Reading The Long Song (2010) by Andrea Levy’として発表した。さらにその結果を、都留文科大学大学院の大学院紀要、第27集に‘Meanings of Andrea Levy’s The Long Song’としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ対応や学部改編、カリキュラム改定などで、学内の業務が大幅に増加し、研究時間が思うように取れなかった。また、国外での資料調査も実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の予定としては、昨年度から研究に着手したゼイディ・スミスのOn Beauty (2005) について、7月に対面で開催されるSociety for Caribbean Studies 46th Annual Conferenceで発表する予定である。また、同じくゼイディ・スミス作品のNW(2012)やSwing Time (2016)を中心に、人種、ジェンダー、シスターフッドについて考察する計画である。
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