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インターレイシャルな主体への偏見とその復権-ハーレム・ルネサンスとネラ・ラーセン

研究課題

研究課題/領域番号 20K00445
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02030:英文学および英語圏文学関連
研究機関愛知県立大学

研究代表者

鵜殿 悦子  愛知県立大学, 外国語学部, 名誉教授 (00128638)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
キーワードアフリカ系アメリカ文学 / ハーレム・ルネサンス / ネラ・ラーセン / アフリカ系アメリカ演劇 / 人種 / ジェンダー / ジェンダー/セクシュアリティ / カラー・ライン
研究開始時の研究の概要

ハーレム・ルネサンスという文化運動/現象を、従来のような経済および人種運動の側面に重きを置く視点からでなく、黒人文芸の質的隆盛として捉え直す。この時代の黒人文学の「質」に注目し、従来の作品評価に対する見直しを行う。この時代における黒人と白人の「協働」が従来過小評価されてきたが、そのことに対する見直しも行う。こうした問題意識を繋ぐ接点として、作家ネラ・ラーセンの文学に着目し、その再評価を行う。カラー・ラインを超越しようとする主人公を描くラーセン文学は、今日に至るまで適切な評価を受けているとはいえない。ラーセン文学は合衆国の人種制度に対してなされたもっとも厳しい批判の一つである。

研究実績の概要

本研究は科研費研究16K02497を発展させ、以下のことを目的として行うものである。ハーレム・ルネサンスというアフリカ系アメリカ文学・文化の初めての隆盛期について、従来のような経済および人種運動の側面を重視する見方ではなく、アフリカ系アメリカ文学の質的量的隆盛の時期として捉え直す。特に、当時の黒人文学の「質」に注目し、従来の作品評価に対する見直しを行う。こうした見直しを要求する代表的な例としてネラ・ラーセンの文学があり、その再評価を行う。ラーセン文学には合衆国のカラー・ラインの正当性に疑問を突きつけるという、当時の黒人文学の中では突出した先見性が示されている。
本年度の研究では、ハーレム・ルネサンス期研究から派生して、上記のような人種区分の正当性を問う視点から、当初は予定していなかったアフリカ系アメリカ演劇に着目することとなった。そうすることにより、ハーレム・ルネサンス文学の特徴を異なる角度から照射することができるようになった。ハーレム・ルネサンスの演劇から1950-60年代のアフリカ系アメリカ演劇のテクストを精査し、その歴史や手法について学びを深めた。その結果、アフリカ系アメリカ現代演劇は、ハーレム・ルネサンス期の演劇・文学から大きな影響を受けていることを再確認することができた。本年度は特にロレイン・ハンズベリ、アドリエンヌ・ケネディらアフリカ系アメリカ女性演劇を中心に研究を進め、秋にはハンズベリ戯曲の翻訳を出版した。また、ケネディ戯曲に関する論文を出版予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度前半には、1920年代から60年代にかけてのアフリカ系アメリカ女性劇作家について集中的にテクストや資料を読み込む作業を行なった。また、ハンズベリ著『ひなたの干しぶどう・北斗七星』の翻訳書を出版することができた。
本年度後半には、アドリエンヌ・ケネディについての論文を書き上げることができ、現在出版を待っているところである。また、大学等から依頼され、アフリカ系アメリカ演劇について講演を行った。
本年度はニューヨークで資料調査・現地調査を行おうとしたが、感染状況が心配で実施することができなかった。しかし、それ以外の研究は、予定していたもの・予定外であったものも含め、おおむね順調に進めることができた。

今後の研究の推進方策

本研究の最終年度である2024年度は、以下のように研究を遂行する予定である。
1. 劇作家アドリエンヌ・ケネディの後期作品について論文を執筆する。前期シュールレアリスム演劇についてはすでに執筆したので、今後は後期社会派演劇について考察を深めるつもりである。
2. 大学でアフリカ系アメリカ演劇に関する講演を行う。
3. アフリカ系アメリカ文学理論に関する翻訳を進める。
4. 米国での資料調査:ニューヨークでの現地調査を行う必要がある。23年度に行う予定だったが、感染の不安が払拭できず実施できなかった。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] Toni MorrisonのGod Help the Childにおける護られざる者2021

    • 著者名/発表者名
      鵜殿えりか(悦子)
    • 雑誌名

      英文学研究(支部統合号)

      巻: 13 ページ: 99-107

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アフリカ系アメリカ文学の魅力2023

    • 著者名/発表者名
      鵜殿えりか(悦子)
    • 学会等名
      名古屋市名東図書館講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 黒人女性劇作家アドリエンヌ・ケネディの一幕劇について2023

    • 著者名/発表者名
      鵜殿えりか(悦子)
    • 学会等名
      広島修道大学学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] ひなたの干しぶどう/北斗七星2023

    • 著者名/発表者名
      ロレイン・ハンズベリ、鵜殿 えりか(悦子)(翻訳・解説)
    • 総ページ数
      325
    • 出版者
      小鳥遊書房
    • ISBN
      9784867800249
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] パッシング/流砂にのまれて2022

    • 著者名/発表者名
      ネラ・ラーセン、鵜殿えりか(悦子)(翻訳・解説)
    • 総ページ数
      411
    • 出版者
      みすず書房
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] パッシング/流砂にのまれて2022

    • 著者名/発表者名
      ネラ・ラーセン、鵜殿えりか(悦子)(翻訳、解説)
    • 総ページ数
      411
    • 出版者
      みすず書房
    • ISBN
      9784622090748
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 『ハーレム・ルネサンスー〈ニュー・ニグロ〉の文化社会批評』「第20章 ハーレム・ルネサンスとネラ・ラーセン」2021

    • 著者名/発表者名
      鵜殿えりか(悦子)、松本昇、深瀬有希子、常山菜穂子、中垣恒太郎、有光道生、奥田暁代、深松亮太、大類久恵、黒崎真、川島浩平、中村隆之、斉藤みどり、古東佐知子、三宅美千代、竹谷悦子、大和田俊之、佐久間由梨、松田智穂子、梶原克教
    • 総ページ数
      610
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750352299
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] ハーレム・ルネサンスー〈ニュー・ニグロ〉の文化社会批評2021

    • 著者名/発表者名
      鵜殿えりか(悦子)、松本昇、深瀬有希子、中垣恒太郎、常山菜穂子、有光道生、奥田暁代、深松亮太、大槻久恵、黒崎真、川島浩平、中村孝之、斉藤みどり、古東佐和子、三宅三千代、竹谷悦子、大和田俊之、佐久間由梨、松田智恵子、梶原克教、田中正之、森あおい、山下昇、千代田夏夫、斉藤修三、西垣内磨留美、ハーン小路恭子
    • 総ページ数
      578
    • 出版者
      明石書店
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] どっちの勝ち?2020

    • 著者名/発表者名
      トニ・モリスン、スレイド・モリスン、パスカル・ルメートル、鵜殿えりか(悦子)、小泉泉
    • 総ページ数
      104
    • 出版者
      みすず書房
    • ISBN
      9784622088004
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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