研究課題/領域番号 |
20K00452
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
飯野 友幸 上智大学, 文学部, 教授 (40168084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | モダニズム / ポストモダニズム / 抒情詩 / 予言者的詩人 / アメリカ現代詩 |
研究開始時の研究の概要 |
現代英語圏作家には、一方でモダニズム作家を意識することでその伝統と遺産を継承し、一方でそれを差異化して現代性と革新性を示す特徴が見られる。本研究は、そんな作家のうちからFrank O’Hara、John Ashbery、Elizabeth Bishopを取り上げ、詩人と〈文化制度・施設〉の関係に着目する。それにより、詩人を〈文化制度・施設〉、〈アメリカ型資本主義が支配的な主流文学市場〉、〈詩作という文学作品創造の場〉のせめぎ合いの中に再配置し、そこに立ち現れるモダニズムとの関係をメタモダニズムとして検討することによって、これらの詩人を新たに歴史化し、政治性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年12月15日に上智大学アメリカ・カナダ研究所との共催により、2020年度以来4回目の「コロキアム」としてニューオリンズ大学のJohn Gery教授の講演会を開催した。演題は"In Clear Disarray: Articulate Uncertainty in John Ashbery's Poetry"で、23名の参加者があった。講演では科研の研究課題の詩人3名のうちのJohn Ashberyについてきわめて詳細かつオリジナルな分析がなされ、院生・研究者からなる参加者にとっては啓蒙的な講演となり、またこの科研の研究課題にとっては新しい見方がさまざまに示されるという意味で大いに参考になる講演となった。 2024年3月31日発行の『The Journal of American and Canadian Studies』41号に「日常性研究について――アメリカ詩の場合」(87~93頁)を掲載した。フランスの社会学者アンリ・ルヴェーブルらの発想に基づき現在に至るまで人文学諸分野でさかんに研究が成されている「日常性」について検証した。比較的短い書評論文という形ではあるが、アメリカ詩についての研究書のなかでどのように取り上げられているのかを解説した。具体的には、2冊の最新の研究書を俎上に載せて、片や哲学をもとにしたrepetitionという概念を中心にしたもの、片やより現代的なテーマであるattentionという概念を取り上げたもので、科研の研究課題の詩人3名もこれらの研究書では分析されていて首肯できるとともに、そこに論じつくされない部分にむしろさらなる研究の可能性を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去4年間、研究課題に関連するアメリカ詩人についてコロキアム(講演会)を上智大学アメリカ・カナダ研究所と共催し、研究を進める上での知見を得ることができるとともに、毎回大学院生・研究者が参加してくれることで、啓蒙的な役割も果たせた。 個人の出版物としても、過去4年間、研究課題に関わる3名の詩人と何らかの形で関わる論文・書評論文・解題付き翻訳を出版することができた。 このように、講演会と出版物という形での成果を出すことで、当初の計画以上というわけではないが着実に研究課題について理解を深め、また発表の場を活かすことができたとは言える。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ特例として5年目にして最後の1年を迎えるにあたり、ここ4年間をとおして行ってきたコロキアム(講演会)と論文執筆を続ける。 まず、5月17日にはイェール大学のカリン・ロフマン教授を招聘して、アメリカ・カナダ研究所との共催により"In Clear Disarray: Articulate Uncertainty in John Ashbery's Poetry"と題した講演会を開く。モダニズム詩人の一人として重要な位置を占めるムアの詩についての講演は課題に資するものが大きいと期待する。 論文としては、研究課題の一人であるジョン・アシュベリーについて、とりわけ徐々に保守化しつつあった1970年代のアメリカ文化との関わりをテーマに据えた研究を発表する予定である。
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