研究課題/領域番号 |
20K00454
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
新井 景子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (20557194)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | アメリカ文学 / アメリカンガール像 / Nathaniel Hawthorne / Edith Wharton |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、“girl”(少女、結婚前の若い女性)像の特殊性に焦点を当て、1880年~1940年のアメリカ文学における少女・女性像を考察するものである。雑誌に掲載された記事や挿絵を参照しつつ、1880年~1940年のアメリカ小説において「アメリカンガール」像がいかなる変遷を辿ったかを分析する。また、Edith WhartonとWilla Catherを中心に、作家たちが「アメリカンガール」像を通していかなる国家観、ジェンダー観を表したか、あるいは作家間でどのような影響関係があったかを考察する。
|
研究実績の概要 |
本年度の主な成果として次のものがある。 ①Nathaniel Hawthorneの_The Blithedale Romance_におけるPriscilla像を考察した。Priscillaは従来の研究では、専ら19世紀半ばの保守的な女性像を示すものとして読まれてきた。それに対し本研究では、Priscillaの労働者階級からの階級上昇および強い姉妹愛に着目し、結婚やセクシュアリティといった問題に関して、語り手Coverdaleの描く保守的な女性像とは異なる面があることを指摘した。そのうえで、Priscillaの中に社会改革的な方向性が見出せることを明らかにした。研究の成果は、「『ブライズデール・ロマンス』におけるシスターフッドと社会改革」というタイトルで、日本ナサニエル・ホーソーン協会東京支部2月例会にて発表した。加筆修正した論文を2024年中に投稿予定である。 ②Edith Whartonの1910年代の作品について、特に_The Reef_と_Summer_を中心に、女性像(アメリカンガール像)やセンチメンタリズム、ノスタルジアといった観点から考察を行った。1910年代のアメリカ大衆文化におけるアメリカンガール像の変化やWhartonの第一次世界大戦中の慈善活動についてリサーチをし、Whartonの1910年代の時代変化への反応が、作品の中の女性像や作品形式にいかに反映されているか、またWhartonがいかにモダニズムの作家と共通するような時代感覚を持ちえたかについて検討した。本テーマは2024年度も継続して行う予定であり、2024年11月に行われる日本英文学会関東支部秋季大会シンポジウムにて成果を発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
WhartonおよびHawthorneについて一定の研究成果が出せたが、新型コロナの影響で海外での資料調査ができなかったこともあり、研究の進捗がやや遅れていたことから、研究期間を延長した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も基本的に研究計画に沿って研究を進める予定である。Whartonについては、2023年度中の研究を継続し、1910年代のWharton作品の中の女性像を考察するとともに、文学史の中のWhartonの位置づけも再考したいと考えている。また、Hawthorneに関しては、これまで4つの長編小説すべてについて「アメリカンガール」像を中心に考察してきたことを踏まえ、短編小説に描かれる女性像やガール像へと分析対象を広げると共に、同時代の女性作家たちの作品との比較なども行いたいと考えている。
|