研究課題/領域番号 |
20K00458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中西 佳世子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (10524514)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ナサニエル・ホーソーン / 『アフリカ巡航者の日誌』 / 海軍艦上劇 / ミンストレル / マシュー・C・ペリー / リベリア / 笑いと権力 / 日本での黒人認識 / 『アフリカ巡航日誌』 / 笑いの構造 / 海洋国家 / 文学的想像力 / ナサニエル / ペリー |
研究開始時の研究の概要 |
日本人が開国時に接触したのは、制度の確立を急ぐアメリカという国家を体現する「海軍」だが、その全権を委ねられたペリーはエンターテインメントを「文化的兵器」とし、艦上劇の演目にミンストレルショーを選んだ。白人優位による「嘲笑」の共有は、支配・被支配関係に基づく「友好感情」を醸成する。本研究では、文学表象や文化思潮の視点から、海を渡ったミンストレルが果たした文化的差異化の機能を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は19世紀アメリカ文学におけるミンストレル的表象と、同時期にアメリカ海軍がアフリカ、アジア、ハワイ、南太平洋諸地域で行った艦上劇のミンストレルショーとの間で共通してみられる「嘲笑」と「階級化」のしくみを明らかにする。また、ミンストレルショーの海外輸出とアメリカ文学におけるミンストレル的表象に着目し、「秩序」と「制度」の固定化を急ぐ19世紀中葉のアメリカの文化的特徴を考察するものである。本年度の研究実績は以下のとおりである。1)19世紀アメリカ海軍のミンストレルショーに言及するBrian Rouleau, With Sails Whitening Every Sea: Mariners and the Making of an American Maritime Empire(2014)、19世紀作家における大衆文学の影響を論じるDavid S. Reynolds, Beneath the American Renaissance: The Subversive Imagination in the Age of Emerson and Melville(1988)を読み込み、それぞれ『関西英文学研究』16号(関西英文学会誌)と『フォーラム』28号(日本ナサニエル・ホーソーン協会誌)に書評論文として寄稿。2)10月の日本アメリカ文学会全国大会(専修大学)にて「HawthorneとPerryのミンストレル―Journal of an African Cruiserと日本遠征」の発表を行った。ナサニエル・ホーソーン協会関西支部研究会12月例会読書会では上述Beneath the American Renaissanceの司会・報告を行った。3)ホーソーン編纂『アフリカ巡航者の日誌』の翻訳を10月に刊行。令和5年5月刊行予定のホーソーン協会40周年記念論集『ロマンスの倫理と語り―いまホーソーンを読む理由』に収録の「ドメスティック・イデオロギー を解体するホーソーンの炉辺 ―七破風の屋敷』の暖炉とコーヒー」を執筆した。4)幕末史の研究を行っている文化学部笹部昌利准教授の協力を得て、横浜開港資料館、神奈川県立歴史博物館で開国前後の日本における黒人受容に関する資料調査・収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の実施期間がコロナウィルス感染症の拡大と重なったため出張調査が思うように進まなかった。その間に文献などの読み込みを行ったが、全体としてやや遅れる結果となり、課題期間の一年延長を申請・受理された。
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月8日にコロナウィルスが第5類指定になったことを受け、次年度には国内外での調査、並びに本研究にかかる内容での依頼を受けている講演出張を進めていく。
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