研究課題/領域番号 |
20K00460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高村 峰生 関西学院大学, 国際学部, 教授 (90634204)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ディストピア / マーガレット・アトウッド / ジョージ・オーウェル / アダム・ロバーツ / コロナ / ペスト / ポストトゥルース / アメリカ文学 / アメリカ文化 / 政治と文学 / 表象文化論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は主として現代の北米において書かれたか、再受容・翻案されたディストピア作品の特質を検討し、権力や欲望の体制について比較文学的な見地から考察を加える。『1984』などの古典的ディストピアの流行から、『ハンガーゲーム』などディストピア的設定を持つ大衆小説・映画までを対象とし、トランプ政権の誕生、情報科学の進展や監視社会化などの変化がどのように影響しているのかを考察したい。
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研究実績の概要 |
本研究は主として現代の北米において書かれたか再受容・翻案されたディストピア作品の特質を検討し、そこに描かれた権力や欲望の体制について比較文学的な見地から考察を加えることである。2022年度は、依頼による論文執筆が多く、その中には本研究課題と関係のないものも多かったため、本研究課題の進捗が遅れることとなった。しかし、そのなかで、2022年9月に亡くなった映画監督ジャン=リュック・ゴダールについての論「ゴダールにおける手の表象と「死後の生」――出来事とマシンの結び目をめぐって」は、彼の作品におけるホロコースト表象をめぐるものであり、現代におけるディストピア表象との関連で執筆することができた。 また、まだ未刊であるが、マーガレット・アトウッドの『侍女の物語』のドラマ版についての執筆を共著において執筆することができた。これは1980年代のアトウッドのディストピア小説が現代の文脈において、どのように受容され、映像化されているかということについての論文である。この中で、著者は、三人の女性登場人物に注目し、彼女がどのように権力とかかわりながら、代理母、代理出産という問題に直面しているかということについて論じた。このことを通じて、現代のディストピアがフェミニズム運動と密接に関連することを明らかにしたのみならず、生殖や性の問題とも深く結びついていることを示すことができた。 このほか、AIなどの最先端の科学技術とディストピアとの関連も当初から研究課題の一つであるが、Adam RobertsなどのイギリスのSF作家による作品を読み、彼らの描き出す、人間とAIの接続した社会における身体的な感覚の衰退について、準備的な考察を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現代のディストピア小説についての全体像をとらえようとする計画そのものが大きすぎたせいもあるが、前述のように執筆依頼が重なり本来の研究課題に集中することができず、研究の成果が断片的なものにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の最終年である本年は、新たなトピックを追究するよりは、単著執筆のために総合的な研究を行いたい。2023年4月から2023年9月までサバティカルでイギリスに滞在していることもあり、集中的に仕上げていきたい。
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