研究課題/領域番号 |
20K00464
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
澤田 和彦 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 名誉教授 (70162542)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 志賀親朋 / ピウスツキ / 亡命ロシア人 / 日露戦争 / ロシア人俘虜 / 二葉亭四迷 / 白系ロシア人 / ゴンチャローフ / 日露交流史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第一にロシアの第三回遣日公式使節エヴフィーミー・プチャーチン提督の長崎来航と下田来航(1853-1855年)から第二次世界大戦終結(1945年)頃までの日本とロシア、ソ連の交流史上の諸問題に関わる事実を、日本、ロシア及び第三国の図書館や文書館、研究機関に所蔵されている関係資料を渉猟することによってできる限り多く発掘し、第二にそれを既成の日露・日ソ交流史上に位置づけようとするものである。
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研究実績の概要 |
令和4年度は主として以下の諸点に取り組んだ。 1. 日本最初のプロのロシア語通詞・志賀親朋の生涯と活動 2. 市川文吉、黒野義文、二葉亭四迷、川上俊彦など、東京外国語学校魯語科関係者のロシアとの関わり 3. 明治期に来日したコレンコ、グレー、ケーベルといった東京外国語学校、東京帝国大学、東京音楽学校のロシア人教師や、B. ピウスツキ、ラッセル、オルジフのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本における事跡と日本観 4. 日本の環日本海地域、北海道と、極東ロシア、サハリンとの関わり 5. 日露戦争 6. 1917年のロシア革命後に来日した白系ロシア人等の事跡調査 7. 日露交流史に直接もしくは間接に必然的に関わってくる、樺太・千島交換条約の有する文化史的意義 第1点について書翰の翻刻2本、第2、3、4、7点について研究ノート1本と国際会議での発表1本と討論者1回とユゼフ・ピウスツキ博物館(ポーランド)のHP用の翻訳の仕事、第5点についてロシア人俘虜のニコライ主教宛書簡の翻刻と翻訳の作業を一年間続行しつつ、姫路と名古屋で俘虜収容所に関する調査と資料収集を行い、第6点について下記研究会で情報交換、その他のテーマについて講演1本と研究発表1本を行った。 令和2年10月に研究代表者が立ち上げた「日露交流史研究会」を、引き続き2カ月に一度オンラインで開催した。この研究会や他の研究会、学会で国内の研究者 たちと緊密に連絡を取り合い、研究成果と情報の交換を行なった。また早稲田大学図書館と埼玉大学図書館で資料の調査と収集を行なった。 外国ではロシア、ポーランドなどの当該分野の研究者たちとメールなどで研究成果と情報の交換を行なった。拙著『ブロニスワフ・ピウスツキ伝』のポーランド語訳(ユゼフ・ピウスツキ博物館、2021年)が、ワルシャワ大学東欧研究所主催の第29回 「イースタン・レビュー」賞を受賞し、令和4年7月2日にオンラインでその授賞式に参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は当初予定していた13の論点のうち、7点について学術論文、研究ノート、書翰の翻刻を発表、もしくは研究発表、講演を行なった。 コロナ禍と戦争のためロシアで開催される会議には出席できず、かの地での調査と資料の収集はできなかった。またその他の外国の図書館や文書館を訪れて資料を調査、収集することもできなかった。他方、志賀親朋書翰の翻刻や、日露戦争時のロシア人俘虜のニコライ主教宛書簡の翻刻と翻訳の仕事、そして日露の文学者、安井亮平氏とボリス・エゴーロフ氏の往復書簡の翻刻と翻訳の仕事に、一年間じっくりと取り組むことができた。また国内の図書館で資料を収集し、日露戦争時の姫路と名古屋のロシア人俘虜収容所跡地を訪れて、調査と資料収集を行なった。さらに「研究実績の概要」で記したように、「日露交流史研究会」等で日露の歴史、文学、芸術、宗教などさまざまな分野を専門とする日本人・ロシア人研究者たちと情報交換とディスカッションを行なった。 以上により、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は令和2、3、4年度の研究を続行し、その成果を踏まえながら、以下の諸点にも取り組む。 1. 1865年の幕府遣露留学生たちのペテルブルグでの事跡とそのロシア観 2. 森鴎外、田山花袋、島崎藤村、国木田独歩、小栗風葉らによる、重訳を通じてのロシア文学の受容 3. 北洋漁業と日露関係 4. 日本におけるロシア語教育の歴史 5. 近・現代日本文学の作品に表れたロシア及びロシア人のイメージ 6. 日露交流史に直接もしくは間接に必然的に関わってくる、日露戦争の有する文化史的意義 令和6年度は最終年度として、これまでの研究を整理、総括し、研究期間内に明らかにしえた点と問題点を列挙、検討して、日本語、ロシア語、英語の3カ国 語の論文集を刊行する予定である。
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