研究課題/領域番号 |
20K00468
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉武 純夫 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70254729)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | カロス / ギリシア悲劇 / ホメロス / アガトス / カロース / カコス / よさの構造 / 美 |
研究開始時の研究の概要 |
アキレウスやヘレネの外貌をその典型として表したように、カロスというギリシア語は、ホメロスにおいては標準的に「美しい」に相当する特別な好ましさを表す言葉であった。しかし古典期にはより広く用いられ、ただ「問題ない」という是認を表すために用いられることも多くなった。それでもこの語が、どういう対象に対してどういうレベルの是認を与えるものとして用いられていたかを精査することによって、感性的評価を表す語としてのその基本的特性を解明する。その上で、この語が特に悲劇において好んで用いられたことの意味を探る。
|
研究成果の概要 |
「カロス」というギリシア語は好適さを表す語だが、ホメロスの時代から古典期へと下るにつれて複雑微妙な使い方をされるようになっていった。「アガトス」という語との違いを念頭におきながら、悲劇におけるすべての用例を調査した結果、この語は、感銘を表す従来の働きに加えて、変転する状況や刹那的な事態の好ましさや拙さを相対的に表すことのできる語として発展し、不安定な状況を描く悲劇によって好んで用いられることとなった、という推論を得ることができた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
悲劇においては「カロス」という語が非常に複雑微妙な使い方をされるようになっていたが、それを跡付ける検討は従来ほぼ皆無であった。この語の意味は、プラトン・アリストテレスやプロティノスに関する言説において哲学的な検討がなされるのみであった。その中で、本研究はドラマの中の生きた言葉の中でこの語がどのように用いられたかを、はじめて体系的に整理したものである。悲劇におけるこの語の全用例の修飾対象類別一覧は、今後の研究にも少なからず寄与するはずである。
|