研究課題/領域番号 |
20K00477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丸田 千花子 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (00548414)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | スペイン文学 / 亡命作家 / 文芸誌 / フランコ政権 / 20世スペイン / 定期刊行物 / 検閲制度 / 20世紀スペイン / 書簡 / スペイン内戦後文学 / 定期刊行物研究 / 亡命文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、スペイン内戦後、国外に亡命した作家に国内での作品発表の機会を与え、停滞していた内戦後文学の再生に文芸誌が果たした役割についてフランコ独裁政権時代(1939-75)を通して研究するものである。政治思想により国外亡命した作家は、検閲等により作品(短編小説、詩、エッセイ)の国内出版を制限されていたが、1950年代以降、国内作家や批評家のよびかけで作品を文芸誌に投稿し、母国の読者に作品を紹介していく。これは内戦で分断した文学思潮をひとつにする必要性を感じた一部の国内作家、批評家や亡命作家が、書簡を通して互いの考えを共有し、内戦後文学の再生と再活性化をめざした結果である。
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研究実績の概要 |
研究3年目の2022年度は国外出張を実行することができたため、コロンビア大学図書館とニューヨーク市図書館で資料収集にあたり、国内で入手できなかった資料全般を複写することができた。国外出張では文芸誌Insulaのバックナンバーをはじめ、メキシコに亡命した作家や知識人に関する資料、亡命作家がアメリカ大陸やヨーロッパで刊行した定期刊行物、1950年から70年代にかけてのスペイン国内文学の資料を収集し分析した。今回の出張ではフランスで発刊された定期刊行物Cuadernos del Congreso por la Libertad de la Cultura(1953-65)の存在が新たにわかり、その重要性を確認できた。この文芸誌はスペインの国内作家と亡命作家が寄稿した論考や両者の作品に対する批評を掲載していて、国内外の作家をつなぐ役割があったと推察される。したがってこの文芸誌の分析は本研究課題にも有用であると考え、2023年度も引き続きこの文芸誌について詳しい調査と分析をする予定である。一方、図書館のコロナ禍対応により一部の資料へのアクセス制限が続いていたため、予定していた資料の収集が終了しなかった。これらの資料の収集も2023年度に予定している。 また2022年度は、本研究の一部を成果としてまとめた2本の原稿を仕上げた。1本目はスペイン内戦後、メキシコに亡命した知識人が、1930年代後半から50年代にかけて、メキシコの学術発展のために果たした役割についてまとめた。2本目はフランコ政権時代(1939~75)の小説が、検閲制度がある中、社会の危機と実像を表象する役割を担っていたことを各時代の代表作品の分析を通して考察した。いずれの成果も2023年度(あるいは2024年度)に書籍の一部として出版される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年夏の時点において、国外の大学図書館等で新型コロナ感染対策が続いており、一部の資料へのアクセスが制限されていたため、予定していた範囲の収集ができなかった。また依頼原稿に対応したため、2022年度に予定していた計画のすべてを遂行することができなかった。一方で研究の一部を成果としてまとめることができ、研究計画全体の進捗に大きな影響はでていない。若干遅れが生じているところは2023年度に対応できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず2023年度に予定している研究計画を進めていく。これは1950年代から70年代にかけて発表された、国内作家と亡命作家の作品傾向の共時性を明らかにすることである。国内作家の作品の精読と考察は2022年度に終了しているため、亡命作家の作品分析を進める。また両者の作品の相違点について分析と考察を行い、結果を研究成果としてまとめたい。次に2023年度も国外出張を行い、2022年度に完了できなかった文芸誌の資料の収集と分析を終わらせる。最後に2022年度の研究過程で新たに判明した国内作家と亡命作家の間に交わされた書簡(カルメン・ラフォレットとラモン・J・センデルほか)と関連資料を入手し、これまでに分析した書簡集と比べて、国内外の作家がどのような情報交換をしながら交流を保っていたのかを精査し分析する。
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