研究課題/領域番号 |
20K00479
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
村田 真一 上智大学, 外国語学部, 教授 (00265555)
|
研究分担者 |
野中 進 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (60301090)
安達 大輔 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (70751121)
越野 剛 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 教授 (90513242)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 芸術的媒介性 / 翻案 / 舞台芸術 / 戯曲 / メディア論 / スラブ域の比較文学・比較文化 / 芸術の受容 / 古典芸能 / 文学 / 翻案理論 / スラブ語圏 / 日本 |
研究開始時の研究の概要 |
芸術研究に関する書籍の翻訳や理論書はしばしば出版されるが、文学・文化研究者と芸術実践家が密に連携を保った国際的レベルの翻案研究は、あまり行われていない。研究代表者を中心とする国際研究グループは、芸術は受容されてはじめて作品として成立するとの視点 に立ち返り、2018年に研究書『アヴァンギャルドの芸術的媒介性と詩学』(ベオグラード大学、ロシア語・英語)を発表し、本研究の出発点とした。 視覚文化の研究はジャンル横断的だが、本研究では、舞台芸術の盛んなウクライナとロシアの演劇と日本の能楽に焦点を絞り、芸術的媒介性の発展性に着目しながら、国際共同研究により、創造的な芸術研究の確立をめざすものである。
|
研究実績の概要 |
前年度までの研究の役割分担を継続し、研究代表者は、スラブ域と日本の舞台芸術の研究推進、ならびに、国内外でのセミナーや研究会への企画・参加を通して研究全体を総括した。 22・23年度は、研究対象地域における新型コロナ感染症拡大に加え、ウクライナへのロシア軍侵攻の影響により、研究対象地域への入国が叶わなかったため、オンライン形式によるセミナーやワークショップの実施が中心となり、実践面での活動を先送りせざるを得なかった。理論研究の面では、国際セミナーとして実施する予定だったイタリアでのスラブ研究者を招いた研究企画を、22年3月により規模の大きな国際学会として開催できた。その際、とくに文化・文学の受容や翻訳の問題に関して研究報告を行ない、海外の研究者と十分意見交換を行なうことができたため、本研究の成果のまとめへ向けて一定の進展があった。23年度は、ウクライナの研究者の日本での講演と研究代表者と能楽師によるイタリアでの古典芸能の講演・実演を通して、時代や地域を超越した芸術の受容の問題を検討した。 各研究分担者へは、引き続き個別研究を進めるよう要請し、前述のイタリアの国際学会にも参加してもらった。 研究代表者の個別研究課題である、演劇の視点から捉えた芸術的媒介性と翻案理論の確立については、ロシアのM.ツヴェターエワの詩劇とウクライナのL.ウクラインカの詩劇の比較分析がほぼ完了し、それと並行して、ウクライナの演出家L.クルバスの演出理論の分析を進めた。また、実践面を補強する目的で、ウクライナのモダニズムの戯曲3本を日本語に翻訳した。また、 各研究分担者は、20世紀スラブ域の文学翻案、19・20世紀の文学のメデイア性、比較文学・芸術のジャンル横断性をそれぞれの具体的テーマに沿って継続的に研究した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の実践面に関しては、新型コロナ感染症の世界的な拡大とウクライナ情勢悪化により、主要な研究対象地域であるロシアおよびウクライナでの学会活動やセミナー開催、劇場視察、資料収集を含むフィールドワークは叶わなかった。しかし、2023年3月にイタリアにおいて国際学会を組織し、研究発表会と十分な研究討議を行なった成果を論集として出版できたことは一定の成果と言える。また、24年3月に実施した、研究代表者と能楽師によるイタリアでの能の理論に関する講演と実演により、時代・地域を越えた芸術受容の可能性を導き出すことが可能となった。
|
今後の研究の推進方策 |
22・23年度のそれぞれの個別研究と論集出版で得られた内容を活かし、本研究の理論・実践面における実質的課題である「創造的展開」を遂行する。具体的には、実践研究の中核である、劇場視察・演劇や他の芸術関係者への取材も行なう。また、可能な限り、映画の分野における実践家を海外より招き、講演・セミナーを実施する予定である。また、23年度のイタリアにおける講演・実演の報告が、日本の伝統舞台芸術に関する本研究成果の一部として、イタリアの演劇雑誌に掲載される。
|