研究課題/領域番号 |
20K00488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
中里 まき子 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (40455754)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ロラン夫人 / ロラン夫人回顧録 / 記憶 / フランス革命 / ラマルティーヌ / ミシュレ / サント=ブーヴ / エレーヌ・ベール / 証言 / 喪のエクリチュール / 回想記 |
研究開始時の研究の概要 |
フランス革命の記憶はどのように継承され、社会状況や人々の心性といかに関わっていたのか。この問いを念頭に、本研究では、ジロンド派の黒幕と目されて恐怖政治期に処刑され、後に、フランス共和国の象徴的存在として崇敬を集めたロラン夫人(1754-1793年)の記憶の継承に焦点を当てる。 ロラン夫人が処刑前に獄中で綴った手記や、ミシュレ、ラマルチーヌらの著作におけるロラン夫人の表象を取り上げ、革命後の社会状況を踏まえて検討することにより、この人物の記憶が継承された経緯と、その背景にあった要因とを浮き彫りにする。
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研究実績の概要 |
フランス革命期の諸党派の覇権争いを背景に、ジロンド派の黒幕と目されたロラン夫人は、政治犯として政敵によって逮捕・投獄されたが、約5ヶ月間の獄中生活の間に手記を執筆し、処刑後に出版された。生前はほぼ無名であったロラン夫人の名声を高め、彼女の記憶の継承に大きく寄与したこの獄中記が、2023年に『ロラン夫人回顧録』(西川秀和訳)として初めて邦訳・出版されたため、その書評を執筆し、自ら編纂した論文集「響き合う女性像」に掲載した。本書評では、やはり革命期の女性であるシャルロット・コルデーなどとの対比からロラン夫人の記憶の特徴を浮かび上がらせた。 また、現代フランスにおいて、ロラン夫人の記憶を含む革命の記憶のあり方に転換がもたらされたことを検証するため、カリブ海仏領での「革命」の記憶を検討した。21世紀初めに、革命期のグアドループにおける黒人蜂起を指揮したルイ・デルグレスの記念プレートがパリのパンテオンに設置されたが、2023年秋には、パンテオンを会場として黒人の解放をめぐる展示 Oser la liberte - Figures des combats contre l'esclavageが開催され、デルグレスらも取り上げられたため、フランス人研究者を通して写真とパンフレットを入手し、検討した。 従来の革命観が問い直され、旧植民地における「革命」にも光を当てる動きの中で、ロラン夫人の記憶がどう変化しているか、考察を継続し、その成果については書籍としての発表を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロラン夫人の記憶を含む、革命の記憶の継承について、資料の収集や研究者との意見交換を行うことができた。また、フランス国内における共和派(革命側)とカトリック・王党派(旧体制側)の記憶に加えて、カリブ海仏領における「革命」の記憶についても検討を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ロラン夫人の記憶を含む、革命の記憶の継承について、資料の収集と検討を継続し、書籍の執筆に取り組む。また、情報収集のためのフランス出張を予定している。
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