研究課題/領域番号 |
20K00492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (10177230)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | マルドリュス / カルネ / ベル・エポック |
研究開始時の研究の概要 |
①カルネの翻刻及びテキストのデジタル化を行い,記述内容の典拠を特定し,マルドリュスの作品や原稿などで記述内容との符合箇所を一覧にする。 ②カルネを使用語彙の属性に基づくネットワークで記述し,マルドリュスが紙の上で実現していた知識構造の復元を試みると共にそれを個々の作品との語彙的照合に基づく照応関係と結合しマルドリュスの創作過程の総体を捉える。 ③カルネで用いられたアラビア語の分析から,疑問視されてきたマルドリュスのアラビア語能力を分析する。 ④マルドリュスと交流のあった文学者との交流に関わる記述を通して当時のパリ文壇の新たな一面を明らかにする。 ⑤翻刻したカルネ及び得られた知見を刊行する。
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研究実績の概要 |
本研究は《ベル・エポック》に出版されて一世を風靡した『千一夜物語』フランス語版の訳者ジョゼフ=シャルル・マルドリュスが遺した未公開の手書きノート「カルネ」4点を対象とする,法定相続人の故マリオン・シェネ氏から受けた独占的使用の許諾に基づくものであり,今年度は前年度まで行ってきた研究のうち次に示す内容を継続して行った:1.翻刻したテキスト中で判読が困難な箇所についての専門家の協力を得た解読作業;2.翻刻が完了したテキスト内容についての記述単位ごとの分類作業及び分類項目の最適な設定;3.テキストの記述内容のうち明らかに引用であると判断された部分の出典の同定;4.「カルネ」本体の日本語訳;5.マルドリュスの義妹である故マドレーヌ・シェネ氏とその娘故マリオン・シェネ氏に研究代表者小田が行ったインタヴューの日本語訳。 今年度はそれらに加えて,「カルネ」で用いられているすべての語彙(述べ約15万語)の使用頻度をデータ化すると共に,使用語彙間の結合関係を調査するための計量的分析を開始した。また,以上の研究によって得られた知見に基づいて,昨年度に刊行した論文の続編の執筆を,2名の海外研究協力者(フランス国立社会科学高等研究院の博士課程大学院生セリア・シュルファ氏とリヨン第2大学・中世キリスト教・イスラーム世界歴史,考古学,文学大学共同利用センターの研究員ラハセン・ダーイフ氏)と共に開始した。さらに,「カルネ」の翻刻テキスト(フランス語及びアラビア語)を東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所とリヨン第2大学によって共同出版するための事務的な手続きの準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「カルネ」4点の翻刻作業の過程で,判読が特に困難な箇所の解読が予定通りより遅れている。また「カルネ」は私的な覚書としての性格が強いために,記述単位の量や扱われているテーマが様々で,前後の関係がまったくない場合も多く,さらには出典のない引用が断片的に用いられるなどが原因で,記述内容の整理に多くの時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度のため,判読が困難な箇所の翻刻を専門家の協力を得てできるだけ早く進めると共に,記述内容の整理も合わせて進め,適切な注を付した翻刻テキストの刊行の実現を目指すが,研究の過程で新型コロナウイルス感染症による渡航制限のために海外研究協力者との打ち合わせや共同作業が十分に行われなかったことから,本研究課題を一年間延長することも考えている。また翻刻テキストの計量的分析の結果を関連する学会で報告する。
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