研究課題/領域番号 |
20K00497
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊池 正和 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (30411002)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 未来派 / フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティ / 身体表象 / 綜合演劇 / 歴史的前衛 / 視覚化演劇 / ピーノ・マスナータ / 演劇における身体性 / 未来派綜合演劇 / 未来派芸術における身体性 / マリネッティ / 未来派創立宣言 / 未来派演劇 / ルッジェーロ・ヴァザーリ / フィッリア(ルイジ・コロンボ) / 演劇 / 身体性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の学術的独自性、創造性は次の2点にある。1点目は、これまで原典の翻訳も含め一次資料からの研究が進んでいなかった1920年代以降のいわゆる「第二未来派」の舞台芸術をその身体性の在り方という新たなアプローチから分析し、仮説を検証していく実証的な形で研究を進めること。そして2点目は、従来の研究では個々に検討される傾向にあった未来派の理論的宣言と戯曲テクストの主題や劇作法、そして衣装や照明、舞台装置なども含めた上演実践の3つの研究を総合的に進めていくことである。また、本研究は、演劇史において未来派演劇を客観的に評価し、正当に位置づけることにも資するものと考えられる。
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研究成果の概要 |
未来派の舞台芸術に関する宣言文等の理論的著作や「綜合演劇」を中心とする劇作法の綿密な検討から、未来派演劇における身体性の抽象化・機械化とは、同時代の機械信仰や遍在的で相互浸透した時空間の認識に基づき、そうした時代に適応した身体表象への変容を求めた結果であったことを明らかにした。そうした身体表象を獲得するために、交換可能な身体のパーツや機械と共通の言葉、思考や感情の抽象的な可視化が志向されたのである。また、こうした身体表象の志向は、20世紀前半の前衛芸術における奔放な主観の氾濫と反動としての個の否定と事物主義という主観と客観の認識をめぐる問題にも還元できることを指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
未来派の舞台芸術における身体表象の抽象化と機械化が持ち得た意味を、同時代の文明の発展や時空間の認識のもとに解明できたことで、前世紀の前衛芸術運動のみならずヨーロッパの演劇史においても未来派を正当に位置付け、その貢献を主張することができた。また、時代における身体表象の変化といった観点からは、人工知能や仮想現実が発展した現代において、物理的身体の意味や役割の変化、潜在的な可能性について再検討するための示唆を与えたという意味でも、本研究はアクチュアルな社会的意義を持つことになったと言える。
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