研究課題/領域番号 |
20K00505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
時田 郁子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60757657)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自然誌 / 精霊譚 / 探検博物学 / 科学 / 四大精霊 / 大航海 / ベルリン / 自然 / ノヴァーリス / ホフマン / ロマン主義 / クライスト / メスメリスム / 自然観 / 文学と科学 / 生活改善運動 / 神秘思想 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は文学と自然科学の交錯に着目してドイツ近代の自然観を解明する。19世紀前半のドイツ語圏では自然科学の発展がめざましく、詩人たちは同時代の科学的成果を受容し、想像力たくましく独特の世界を描いた。メスメリスムと人形をモティーフにした諸作品を分析して、彼らの世界像が次世代の自然科学の発展と新しい生活様式の創出に寄与したことを論証する。人間の内面に寄せられた関心は、メスメリスムから精神分析、神秘主義へ続く。20世紀前半の生活改善運動は、精神分析医や芸術家が数多く参加し、神秘思想の実践の場になったため、その諸相を分析する。本研究は19-20世紀のドイツ語圏の文学的自然観の展開と影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
最終年度には、これまでの研究を踏まえ、精霊譚を分析して詩人や読者が自然をどのように捉えていたのかを考察し、ドイツの博物学者が行った探検とその成果を調査した。 「精霊(Geist)」は自然を擬人化したものであると捉え、地・水・火・風という自然の四大元素の擬人化として、地の精、水の精、火の精、風の精をテーマにした作品を取り上げ、複数の作品を分析して、啓蒙主義の行き渡った時代にあらためて精霊譚が脚光を浴びた理由を考察した。 探検博物学者については旅行記を記した三人の人物に着目した。一人目はゲオルク・フォルスターであり、十代のとき父と共にイギリスのクック船長が指揮する第二回航海に参加して『世界旅行記』を英語で出版した後、ドイツで活躍した。二人目のアレクサンダー・フォン・フンボルトは私費で南北アメリカ大陸を探検し、その成果を旅行記や講演などで発表し、科学界に貢献した。三人目のアーデルベルト・フォン・シャミッソーはフランスからプロイセンに亡命した貴族であり、ロシアの航海事業に参加した後、ベルリンの植物園に勤めた博物学者である。本研究では彼らの旅行記を読み解き、その後の活動を踏まえて、彼らが自由主義的な考え方を抱くようになった経緯を明らかにした。 文学作品に見られるメスメリズムの影響やホムンクルスのイメージといった自然の不思議に関するこれまでの研究を含めて、『詩人たちの自然誌―一九世紀初頭ドイツ語圏の文学と科学ー』(仮題)として著書に纏めたところである。
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