研究課題/領域番号 |
20K00510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
大鐘 敦子 関東学院大学, 法学部, 教授 (50350541)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | フローベール / 初期作品 / 中期作品 / 『十一月』 / ファム・ファタル / ゲーテ / 生成研究 / 草稿 / ファタリテ / シバの女王 / 草稿研究 / 聖アントワーヌの誘惑 / 十一月 / 宿命感 / 初期小説 / 宿命 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀フランスでは、「ファム・ファタル(宿命の女)」は文芸分野で最も注目されたテーマの一つであった。レアリスムの父フローベールは、近代文学の先駆者また文学の概念を根本的に変えた作家として位置付けられているが、一方で『サラムボー』(1862)を始めとする一連の作品は、世紀末や象徴主義におけるこのモチーフの成立に多大な影響を与えたといわれている。フローベールにおいて「宿命(ファタリテ)」という概念と「宿命の女」像はどのように関わっているのか。 本研究では、フローベールの初期・中期作品において「宿命」の概念と「女性像」が交錯しながら美学形成に果たした役割を、生成研究を用いつつ明らかにしたい。
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研究成果の概要 |
フローベールが描く女性像は、十九世紀後半に特に注目された「ファム・ファタル(宿命の女)」の概念に多大な影響を与えたと言われている。本研究では、フローベールの初期から中期に当たる作品群を、特に未公開草稿であった自伝的作品『十一月』のオークション後の閲覧をはじめとして、前後や周辺の作品との間テクスト性と草稿研究に焦点を当てて分析を試みた。青年期の作品に見られる作家の試行錯誤やフローベールにおける「宿命の女」の表象の創造過程が、いかに円熟期の「宿命の女」像に影響を与えたかを解明することに務め、フローベールにおける宿命的な女性像の形成と変遷を初期から晩年まで俯瞰できるものとして新たに位置づけた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、初期から中期の生前の未発表作品の中から、自伝的小説『十一月』において作家が試みた試行錯誤や初期の文体が、後期の『感情教育』に与えた関係性や他作品との間テクスト性を文学史的観点から考察し、幻の草稿とされていた『十一月』をオークション後早々に特別閲覧し、非人称小説を生み出す過渡期のフローベールを紹介することに務めた。立教大学やジョンズ・ホプキンス大学で開催された国際会議などでの発表に努めるとともに、生誕200周年記念論集『フローベールとスキャンダル』や共同編集した『聖アントワーヌの誘惑』150周年記念論集をRouen大学フローベール研究所サイトに掲載し社会にその意義を問うことができた。
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