研究課題/領域番号 |
20K00518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
渋谷 豊 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (70386580)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 吉江喬松 / 日仏比較文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は二十世紀前半の日本の文学においてどのような地球観が現れ、どのように地球が表象されてきたのかを、比較文学的立場から明らかにしようとするものである。そのための具体的な足掛かりとして、作家・フランス文学研究者の吉江喬松の著作を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、日仏比較文学の観点から、近代文学における地球(およびその主たる構成要素である山岳、海洋など)の表象について考察するものである。その際、フランス文学に依拠しながら文学活動を行った吉江喬松に注目し、吉江喬松とその周辺の文学者(作家、文学研究者、文筆活動を行った登山家等)の山岳、海洋の表象の特色を明らかにし、かつ、「地球」という言葉の用法を精査することを当面の目的として作業を進めてきた。 さらに、より大きな展望を得るために対比研究の手法も導入することとし、影響関係はおそらくまったく想定しえないものの、吉江喬松の同時代人である20世紀前半のフランスの作家サン=テグジュペリのテキスト、とくにTerre des hommes(「人間の大地」と訳されるが、「人間の地球」と訳すことも可能)に示された地球観を解明しようとしている。 これにより、吉江高松(およびその周辺の文学者)とサン=テグジュペリの両者に関する対比研究を進める基盤ができつつある。 また、この二人を参照軸にして近代文学における地球(および山岳・海洋)の表象を整理することが可能になり、その作業も徐々に進めている。特に、サン=テグジュペリに私淑したガストン・レビュファや、吉江喬松のエッセー集『アルプの麓』の実現に尽力した近藤等(ガストン・レビュファの作品の翻訳者でもある)の文学活動に注目している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の研究期間のかなりの部分がコロナ禍と重なったため、フランス国立図書館での調査などを十分に進めることができなかったため。もっとも、令和5年度はフランスで文献調査を行い、吉江喬松関連の資料を収集するとともに、サン=テグジュペリに関する先行研究の成果も入手することができたものの、まだ論文にまとめるには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
吉江喬松とその周辺の文学者の山岳、海洋の表象の特色を明らかにし、「地球」という言葉の用法を精査することを当面の目的として作業を進めてきたが、この作業を引き続き行う。他方、当初予定していたよりも対比研究の比重が大きくなってきたが、これは視野が広がったということであり、新規性・独創性が増したということでもあるので、肯定的に受けとめ、吉江喬松(とその周辺)とサン=テグジュペリの地球観の比較検討を推し進める。
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