研究課題/領域番号 |
20K00527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
高西 成介 高知県立大学, 文化学部, 教授 (50316147)
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研究分担者 |
山口 善成 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60364139)
田中 裕也 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (30769138)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 注釈 / 翻訳 / 中国文言小説 / 三島由紀夫 / エマ・ウィラード / ハーマン・メルヴィル / フィクション / 注釈・翻訳 / 中国古小説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中国文学、日本文学とアメリカ文学の「フィクション」生成における「翻訳」「注釈」行為の果たした役割を明らかにするとともに、地域性を越えた普遍的な「翻訳」「注釈」と「フィクション」成立との関係性を、共同研究を通じて明らかにすることを最大の目的とするものである。さらに、本研究が地域研究としての文学研究の抱える閉塞感を打ち破る一つの契機となることも目指す。
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研究実績の概要 |
今年度も前年度に引き続き、翻訳と注釈をめぐる問題について、各人が行う個別研究が中心となった。本来ならばその個別研究を、共同での討議にもっていく予定であったが、研究代表者の都合で、2回開催を予定していた研究会が、オンラインによる1回の研究会実施にとどまってしまうなど、当初の予定通りとはいかなかった。そのため研究期間を1年延長し、改めて研究成果の統合をはかることとした。なお、個別研究は、以下の通りである。 高西は、昨年度に引き続き『聊斎志異』の各国語翻訳に着目し研究を進めた。中でも、「画皮」をめぐって、その描写の身体感覚やエロティシズムに着目し、翻訳や各国語に付された注釈なども参照しつつ、作品の新たな読みの可能性を考察した。また、その成果は、学会等で発表した。その他、『太平広記』宝部に関して、翻訳と注釈を作成し発表した。 山口は、エマ・ウィラード『アメリカ合衆国史』(1828)における歴史の視覚化と記憶術との関係、および脚注における「言い伝え」の使用の意義について考察し、Bloomsbury History: Theory and Methodにて発表した。その一部は本科研費の研究会でも報告した。その他、ヘンリー・アダムズのタヒチ史や19世紀アメリカのユートピアニズムに関する研究発表を行った。 田中は、三島由紀夫文学館において、『金閣寺』の原稿について4日間調査・研究をおこなった。日程が限られているため3分の1程度の原稿を確認し、研究に必要な部分の翻刻をおこなった。その結果、フロイトの翻訳書からの影響やが見られることが分かってきた。知識の解説を一種の注釈として捉え、そこから創作との関係性について考えることが必要であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が、新たな役職につき慣れぬ校務に追われるなどしたため、研究を当初の予定通り進めることが難しくなり、また、当初予定していた研究会も1度しか開催することができなかった。さらに、文学館等における調査も、コロナの影響のため、当初の予定通りすすめることはできなかった。そのため、最終年度の目的であった領域横断的分析まで、今年度は取りかかることができず、当初の予定よりも進捗は遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年度ということもあり、昨年度までの個別研究を中心に研究を行うとともに、日・中・英米文学における「注釈」「翻訳」の横断的研究をさらに深化することにしている。個別研究においては、高西は『聊斎志異』の翻訳と注釈の研究を進め、『聊斎志異』の受容を明らかにするとともに、「身体」と「エロティシズム」の問題についても考えて行く予定である。また、『聊斎志異』の翻訳、注釈に関しては、分担者の山口とも共同で研究を進める。さらに田中は、『仮面の告白』と『禁色』の分析を通して、〈性〉と〈美〉に関する知識との関係性の一端を明らかにする。『漱石文学全注釈』や各作家の「注解」などで何が「注釈」対象として選択されているのかについて考察する予定である。 さらに、今年度秋には、本科研メンバーに外部のゲストスピーカーを招いたシンポジウムを実施し、それぞれの研究成果の横断的、発展的な統合をはかる予定にしている。 また、各人の研究成果は、引き続き学会等で報告するとともに、論文として学会誌への投稿、書籍への寄稿を行う予定である。
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