研究課題/領域番号 |
20K00530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
張 欣 法政大学, 経済学部, 教授 (40424767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ディアスポラ / 知日 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「ディアスポラ」と「知日」を中心に中国語圏文学を取り上げたい。 2019年上梓した拙著『越境・離散・女性――境にさまよう中国語圏文学』ではディアス ポラの視点で張愛玲や龍應台の作品を論じている。それを踏まえてメリーランド大学等に保存されている張愛玲関連資料を調べ、胡蘭成らの作品をも研究対象にし、ディアスポラ中国語文学の諸様相を解明したい。 本研究ではまた周作人以来、最も重要な知日派随筆家と評価される李長声の日本論を整理し、それを周作人ら知日派作家の系譜に入れて歴史的に捉えてみたい。
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研究実績の概要 |
二十世紀を通じて、世界中の人々の移動は頻繁かつ大規模なものとなった。 複数の場所を往還する人もいれば、ディアスポラ(Diaspora、離散)の運命を辿った人もいる。 2019年上梓した拙著『越境・離散・女性――境にさまよう中国語圏文学』ではディアスポラの視点で張愛玲の作品を論じている。令和2年度から4年度までは引き続き張愛玲研究を進め、新たに張愛玲論を執筆した。張愛玲が中国語と英語の間での四回の変換をまとめた「四度転身」が『書城』(2020年12月)に掲載され、日本華文女性作家協会にて「張愛玲の四度転身」というテーマで講演した(2020年11月28日)。張愛玲小説の『小団圓』と散文の『小団圓』の関連および散文の『小団圓』の行方について、「末炉香,小団圓」を執筆し、『随筆』雑誌(2023年第3期)に掲載された。また、知日派作家李長声(1949-)についての研究も進めた。 2022年11月25日オンライン方式で国立清華大学華文文学研究所(台湾)主催の「2022當代華文散文學術研討會」に参加し、「東瀛孤燈下的長聲閒話」というテーマで発表した。論文の『東瀛孤燈下的長聲閒話』は会議論文集の《2022當代華文散文學術研討會論文集》に収められた。『東瀛閒話』は『書城』雑誌(第200期 2023年1月 )に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台北の皇冠出版社が2020年に出版した『張愛玲往来書信集1、紙短情長』および『張愛玲往来書信集2、書不尽言』は張愛玲と宋淇夫婦の三人の文通であり、張愛玲研究に新しい資料を提供した。ここ数年台北聯経出版社は『夏志清夏済安書信集』を五冊出版した。同時代の五人の知識人の手紙を解読することにより、張愛玲研究の新しい可能性が見えてきた。小説の『小団圓』と散文の『小団圓』の関連および散文の『小団圓』の行方について、「末炉香,小団圓」を執筆し、『随筆』(2023年第3期)に掲載された。 張愛玲研究を続けると同時に、李長声(1949-)ら知日派作家についての研究も続けている。李長声は1980年代末日本に移住して以来、30年以上日本文化に関する随筆等を書き続け、中国語圏で大きな影響力を持っている。李長声の随筆は在日華人文学を新しい境地に導き、日中文化交流にも貢献している。2022年11月25日オンライン方式で国立清華大学華文文学研究所(台湾)主催の「2022當代華文散文學術研討會」に参加し、「東瀛孤燈下的長聲閒話」というテーマで発表した。論文の『東瀛孤燈下的長聲閒話』は会議論文集の《2022當代華文散文學術研討會論文集》に収められた。また、『東瀛閒話』は『書城』雑誌(第200期 2023年1月 )に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
南カリフォルニア大学やメリーランド大学等に保存されている張愛玲関連資料を調べ、ディアスポラの視点で張愛玲研究を続ける。周作人以来最も重要な知日派随筆家と評価される李長声の日本論をさらに整理し、それを知日派作家の系譜に入れて歴史的に捉えてみると同時に、李長声が魯迅および周作人より受けた影響についてもさらに考察する。
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