研究課題/領域番号 |
20K00531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西 成彦 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (40172621)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ホロコースト / サバイバー / ユダヤ人作家 / 非ユダヤ人作家 / 言語横断的サバイバル / 執筆言語の選択 / 自伝的回想 / 自伝的小説 / 執筆言語選択 / 多言語状況 / 被害者性 / 加害者性 / post-Holocaust / jewish literature / comparative literature / cross-lingual |
研究開始時の研究の概要 |
現代文学は、天災・人災を含む未曽有の惨劇を後世に書き残すという使命を負っていると言っても過言ではなく、そうしたなかで、数百万人規模での死者を出した「ホロコースト」に関しては、1)死亡者が生前に書き残したもの、2)九死に一生を得て生き延びた者がその後の遍歴を踏まえて書き残したもの、あるいは3)そうした遍歴を経てきたサバイバーとの出会いに触発されて書いたもの(二世以降も含む)などがあり、それらを総合的に見るためには、語圏を越えた比較文学的なアプローチが必要である。これまで語圏間の比較文学の方法論を練り上げてきた経験を、「ホロコースト文学」という世界大に裾野を広げる作品群の分析にあてはめる。
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研究実績の概要 |
『死者は生者のなかに』に「序」を書き足して、書名には「ホロコーストの考古学」の副題を添えて、2022年12月に刊行。2023年に入ってから日本経済新聞、図書新聞、週刊読書人、熊本日日新聞などに、いずれも好意的な書評が載った。東欧文学研究者、フランス文学研究者、ドイツ思想研究者、ディアスポラ研究者といった、さまざまな分野の方々の書評を得られたのが、本研究の特徴をよくあらわしている。 「ホロコースト文学」は、おもにその被害者性を引き受けることになった「ユダヤ人」のみによって担われるものではなく、また「ユダヤ人」を自称する作家が、自民族の「被害者性」のみに光をあてるわけでもない。むしろ「ユダヤ人」であるがゆえに、避けようとする事象を「非ユダヤ人」であればこそ主題化することさえありえた。これまでの研究で、こうした「交錯」が、執筆言語の選択可能性などとも相互に作用しつつ、結果的に豊かな作品を生んできたことは証明できた。 『死者は生者のなかに/ホロコーストの考古学』のなかでは、ウィリアム・スタイロンやイェジー・アンジェイェフスキのような「非ユダヤ人作家」が「ホロコースト文学」のなかでいかに大きな役割を果たしたかも論じることができた。 また、アルベール・カミュやサミュエル・ベケットが自身の「レジスタンス体験」をふまえながら、戦後になってからのホロコースト生存者の文学創造をサポートする文学創造を試みたことを「ペスト」や「人べらし役」などを例に挙げながら論じた。 これらはローレンス・ランガーが1975年に試みていたことの延長に位置するが、そこではあまり扱われていなかったポーランド語やイディッシュ語の作品、そして映画『SHOAH』などに関する分析を加えたことにも特色がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた海外出張が実現できなかったが、イディッシュ語文献の大半がオンラインで閲覧できるなど、研究の進捗をさまたげることはなかった。むしろ研究が進むにつれて新しい問題が浮上してくるため、やや未達の感が否めないが、それは今後の期間延長で克服できるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は『死者は生者のなかに/ホロコーストの考古学』、および『現代詩手帖』(思潮社)に隔月で連載した「世界がゲットー化する時代に」をふまえた、学術イベント、および一般市民向けの公開イベントなども考えており、そこでの反応を受け止めながら、ここまでの研究がおろそかにしてきた点がなかったかどうかを最終点検する。 また「ホロコースト文学」全体のなかでの「非ユダヤ人」の寄与について、チェコ語作家、ラジスラフ・フクスや、スロヴェニア語作家、ボリス・パホルなどについては調査が不足していると気づいたため、そこも補いたい。
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