研究課題/領域番号 |
20K00546
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
秋谷 裕幸 愛媛大学, 法文学部, 教授 (10263964)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 中国語 / びん語 / びん東区方言群 / 音韻史 / 祖語再構 |
研究開始時の研究の概要 |
①慈溪方言、福鼎方言、霞浦方言の調査を行い、より包括的なびん東区方言群の音韻データ集を構築する。 ②このことにより、あらゆるタイプのびん東区方言を網羅した上で、びん東区方言群音韻史を構築することが可能になる。 ③中国語諸方言に存在する圧倒的大多数の形態素は、中古音との音韻対応規則に基づき漢字で表記することができる。そのため従来の中国語音韻史研究は漢字で表記可能な形態素を研究対象としてきた。本研究では漢字で表記できない形態素の音韻史も扱う。 ④従来は中国語が一音節一形態素であることから、多音節語の音韻史が試みられることが なかった。本研究では多音節語の再構も行う。
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研究実績の概要 |
(「門+虫」がネット上で表示できないため、以下「びん」とひらがな表記する。) 本年度は本研究課題の三年目である。申請書に記載した研究スケジュールは、(1)福鼎・霞浦方言の調査(第2次)、(2)『びん東区方言音韻史研究』の執筆、となっている。今年度に関してもコロナ禍が完全には収束することがなく、中国への渡航が不可能な状況が継続したため、(1)を実施することができなかった。そこで、手持ちの方言データのみにより、(2)『びん東区方言音韻史研究』の執筆を行った。そして関係する研究成果として、『びん東区音韻史研究』の部分的内容となる、以下3本の論文を発表した。 (a)「《戚林八音》“遮同奇”初探」(《方言》2022年第2期、137-142頁。中国語。査読あり。陳澤平との共著。2022年5月24日) (b)「広東中山市隆都方言的歴史音韻特点及其帰属」。(《声韻論叢》第二十八輯、1-28頁。中国語。単著。査読あり。2022年6月) (c)「原始びん東区方言的*yai韻及其相関問題」。(『中国語学』269、76-92頁。2022年10月31日。単著、中国語、査読あり。) (a)は中国社会科学院語言研究所が発行する学術誌、(b)は台湾の学会誌、(c)は日本中国語学会の機関誌に掲載された。いずれもびん東区音韻史に直接的に関わる内容である。(a)は地方韻書を駆使した福州方言音韻史の微視的研究、(c)はびん東区祖語の修正案である。(b)はびん東区方言の方言島である広東省中山市隆都方言の音韻史的特徴を論じたもので、そこから隆都方言がびん東区方言北部グループを近い関係にあることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和二年度は浙江省慈溪方言、令和三年度は慈溪方言と福鼎方言、今年度は福鼎方言と霞浦方言の方言調査を行う予定であった。ところが今年度においてもコロナ禍により中国への渡航し方言調査を実施することができなかった。そのため、申請書通りの研究を実施することが不可能な状態が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度も記したが、もはや申請書に記載した通りに研究を進めることは断念せざるを得ない。そこで、これまでに調査・整理した15地点のデータを元に『びん東区方言音韻史研究』の執筆を令和五年度についても進める。論文としては少なくとも次の三本を執筆する。(1)「びん東区方言中入声的舒声化」、(2)「蒼南方言中原始びん語*a和*au的表現」、(3)「福州方言的内部差異」。
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