研究課題/領域番号 |
20K00554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
平岩 健 明治学院大学, 文学部, 教授 (10572737)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 不定語 / 自由選択表現 / 否定極性表現 / 存在量化詞 / 全称量化詞 / 選言 / 等位接続 / 量化 / とりたて詞 / 自由選択 / 比較構文 / 示差的格標示 / 畳語 / 存在量化 / 極性表現 / 疑問縮約 / 疑問 / 否定極性 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの自然言語には日本語の「誰」「何」のような不定語 (indeterminates) と呼ばれる表現形式が存在しており、これらは特定の要素と結合することにより種々の不定表現(wh疑問詞、全称量化詞、存在量化詞、否定極性表現、自由選択表現)を形成するという興味深い共通メカニズムが存在する。本研究課題は、不定語の内部構造と機能範疇、その認可条件、そしてその普遍性とパラメータ差異を解明することを目標とする。沖縄語那覇方言とGur諸語の綿密なフィールドワーク調査によって日英語との比較対照研究を行い、不定語の統語メカニズムをヒトの言語能力 (UG) に関わる一般理論から理解することを目指す。
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研究実績の概要 |
3年目の本年度は理論的研究期間と位置づけて、まずこれまでに明らかにした日本語の不定語システムの新たなデータとその分析に基づいて不定語システムの整理を行った。これにより日本語においては存在量化の不定語、自由選択の不定語、比較構文に生起する不定語、これら3種の不定語表現は、先行研究においてなされてきた主張に反し、すべて疑問の統語構造がベースとなって生じていることを理論的に解明することができた(中西公子氏との共同研究)。またこれは国語学や日本語学において提案されている通時的変化とも合致することが確認された。本年度は疑問をベースとした統語構造としてさらに選言表現に考察対象を広げ、日本語の選言表現「か」は選言要素ではなく、付加的疑問文がゼロ形の選言主要部により接続された疑問構造から削除により導出されている可能性について検討した。これが正しければ日本語の存在量化の不定語は直接選言から導出されているのではなく疑問演算子を含む疑問構造から導出されているという本研究課題の結論のさらなる証左となる。 本研究期間においては研究発表や論文の出版はなかったが、上述の観点から日本語の選言表現について国際学会の研究発表に応募し、West Coast Conference on Formal Linguistics (WCCFL 41)、Workshop on Theoretical East Asian Linguistics (TEAL13)、Chicago Linguistic Society (CLS 51) に採択された。研究発表は次年度行う予定である。尚、フィールド調査研究に基づく沖縄語とGur諸語の記述研究、海外研究者との共同研究は今年もコロナウイルスにより中止を余儀なくされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本語の不定語システムの研究は順調に進行している一方で、コロナウイルスの感染拡大状況のため、昨年度同様、協力話者の方の意向を尊重し沖縄語のフィールド調査研究は中止とせざるを得なかった。また予定していた西アフリカの言語のフィールド調査研究は研究協力者に日本に来てもらうことができず延期状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
日本語を中心とした研究計画は特にコロナウイルスの影響を受けないため、研究計画通りに研究を推進する予定である。沖縄語についてはこれまで協力していただいている話者の方はコロナ感染症の懸念から2023年度も調査再開は難しいとの相談があったが、別の協力話者が見つかったため、研究代表者のサバティカルと重なる2023年度は集中的に調査研究を実施する予定である。
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