研究課題/領域番号 |
20K00562
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
大島 一 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (10538036)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 言語学 / 複数性 / 日本語諸方言研究 / ハンガリー語学 / 日本語諸方言 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,日本語諸方言における複数性表現の中でも,非人間名詞にもつく複数接尾辞「ら」に注目し,従来の各地方言レベルでの調査研究を,諸方言を通しての統一的な理論的枠組みで分析する。これにより,1)個別方言レベル以上の「数」に関しての新たな知見が得られる,2)複数性についての新たな調査票を構築する,3)諸方言間の「ら」における複数や例示といった様々な意味用法が検証できる,これらが成果として期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は,日本語諸方言における複数性表現(「太郎たち」「子どもら」など)の中でも,特に,非人間名詞にも付く複数接尾辞「ら」(「猫ら」など)に注目し, 従来,各地方言レベルでしか調査されてこなかった複数性についての調査を,諸方言を通して統一的な理論的枠組みで調査分析するという新たな手法を取るものである。これにより,1)個別方言レベルでは得られなかった「数」に関しての新たな知見によって方言研究および一般言語学に貢献できる。 2)諸方言の複数性についての新たな調査票を作成することで,今後の方言調査への貢献が期待できる。3)諸方言の「ら」には複数の他に例示用法(「なんか」「とか」)が見られる ものとそうでないものがあり,複数や例示などの意味用法における意味発展仮説を検証できる。これらの研究成果は,通言語的にも(通常の複数の他に,近似複数の形式(Pe'ter-e'k「ペーテル-たち」)も持つハンガリー語との比較対照),「数」の研究において多大な貢献が可能となる。
【令和5年度における研究実績】令和4年度に行った沖縄宮古島での複数形式のフィールド調査の結果を,6月に開催した国立国語研究所の所属プロジェクトである「消滅危機言語の保存研究」での研究会で発表した(「宮古語諸方言での名詞句階層でみる複数性表現に関する予備的調査報告」,セリック・ケナン氏との合同発表)。また,その内容を当プロジェクトが発行しているプロシーディングス(『日琉諸語の記述・保存研究』vol.2)。なお,当該年度は研究最終年度であったが,再延長が認められ,令和6年度も当研究を引き続き実施する(令和5年度最後にも宮古島でのフィールド調査を行い,その結果を令和6年度6月に開催予定の当プロジェクトの研究会にて発表する予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度から新たな地点として沖縄は宮古島にての調査は令和5年度にも継続して実施できたことにより,そのアウトプットを研究会発表や論文化によって実現しているが,全国他の地点における調査は当該話者の個人的都合により,実施できていない。また,複数性の対照研究として,ハンガリー語および周辺地域のハンガリー語方言の予備調査も,自分自身および当該地域の話者との時間的な都合から当該年度で現地へ赴けず,調査は実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,令和4年度後半から令和5年度に行った宮古島での調査と同様に,他地点でも対面調査も実施していく予定であるが,当該地点の話者との都合がつかないケースを想定して,茨城,大阪および和歌山地域の複数性表現「ら」に関しては,COJADS(日本語諸方言 コーパス)における再調査を進めた上で,研究発表,その論文化に繋げたい。対照研究としてのハンガリー語調査は,最終年度である令和6年度夏に現地ブルゲンラント州のハンガリー語話者コミュニティに赴き,実施する予定である。
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