研究課題/領域番号 |
20K00563
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳田 賢二 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (90241562)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ウズベキスタン / ロシア語 / 現地調査 / 現地調査断念 / 言語接触 / リンガフランカ / 現地語化 |
研究開始時の研究の概要 |
ウズベキスタンのロシア人ほかの「ヨーロッパ系住民」のロシア語は、ロシアのマスメディアとインターネットによる共通語化への圧力下にあるにもかかわらず、世代を追うごとに非スラヴ系現地諸民族のロシア語リンガフランカに近付いている。本研究はウズベキスタンのロシア語を題材とし、ピジン・クレオール化を介さない旧権威語のリンガフランカ化および旧支配民族住民の土着化を通じた当該リンガフランカの母語化による新言語の発生についての共時的観察ならびに実証的研究である。このリンガフランカは互いに通じない様々な言語の母語話者によって「族際語」として使われてきたが、このことは「言語同盟」の形成を説明する重要な鍵となり得る。
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研究実績の概要 |
本科研費(令和2~4年度科研費補助金(基盤研究(C))「ウズベキスタンにおけるロシア語の現地語化についての研究」は、ウズベキスタンでのロシア人とウズベク人ら現地民族の両者に対する聞き取り調査を行うことによって同国のロシア語の変遷を細かく観察するために交付を得たものである。しかし、本科研費によるウズベキスタン現地研究は、2020年度、2021年度に引き続き最終年度である2022年度も9月時点で国内外の新型コロナウイルス感染が終息していなかったため、やむを得ず断念することとなった。したがって、2022年度も前2年度と同様に本科研費からは1円も支出することはなく、本研究課題に関連してすることができたのは校費で購入した文献を読み込むことだけであった。 この文献研究から得られたのは、前科研費による2019年度調査で得られた高齢現地ロシア人の証言にあった「戦中戦後の戦争避難民受け入れによる共同住宅の発生およびそこにおける母語を異にするソ連国民のロシア語による交流の進展」という事実が、我が国の旧ソ連研究においてはさして注目されない事実であるにもかかわらず、実は、ソ連における自国民へのロシア語の普及および「ソ連国民」という意識の醸成と定着において、非常に重要な役割を演じたという認識である。しかし、現地調査が不可能だったことにより、本科研費によって共同住宅に関する具体的な証言を得たり、それを語るロシア語を細かく観察することは全く不可能であった。 このため、2023年1月、日本学術振興会に対し同科研費に関わる補助事業期間延長の承認申請を行い、同3月に承認を得た。現在のところ、2023年度内に現地研究を行うことに加え、もし可能ならばこの科研費の研究期間をさらに1年間延長する申請を行い、それが認められた場合には2024(令和6)年度まで2年間の現地調査を行う意向である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述の通り、新型コロナウイルス禍のため令和2、3、4年度(2020,2021,2022年度)という当初予定していた研究期間の3年間に一度もウズベキスタンでの現地研究を行うことができず、できたのは校費で購入した文献を読み込むことだけであった。そこから得られたのは、前科研費による2019年度調査で得られた高齢現地ロシア人の証言にあった「戦中戦後の戦争避難民受け入れによる共同住宅の発生およびそこにおける母語を異にするソ連国民のロシア語による交流の進展」という事実が、我が国の旧ソ連研究において一般に考えられてきたよりもはるかに重要であるという認識だけである。しかし、現地調査が不可能だったことにより、本科研費によって共同住宅に関する具体的な証言を得たり、それを語るロシア語を細かく観察することは全く不可能だったので、このように評価する。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、現在のところ、2023年度内に現地研究を行うことに加え、もし可能ならばこの科研費の研究期間をさらに1年間延長する申請を行い、それが認められた場合には2024(令和6)年度まで2年間の現地調査を行う意向である。
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