研究課題/領域番号 |
20K00567
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
篠原 和子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313304)
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研究分担者 |
秋田 喜美 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20624208)
宇野 良子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40396833)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 音象徴 / 言語間比較 / 阻害音 / 有声性 / 子音 / 共鳴音 / 実験 / 非知覚的イメージ / 硬さ / 加速度 / 認知言語学 / 音声学 / 通言語研究 |
研究開始時の研究の概要 |
「ブーバ」と「キキ」が図形の名前だとすると、後者の方が尖った(直線的な)図形のように聞こえる。このような音象徴現象は多くの言語に共通しており、身体基盤をもつゆえに普遍的だと信じられてきた。一方、近年では音象徴の一部に言語による違いが発見され、注目されている。本研究では、音象徴の言語間差異を複数の言語で実証的に確認し、その原因を、(1)オノマトペ体系を含む言語の音韻体系による差異、(2)言語音の音声学的性質ににもとづく差異、という2側面から説明するための基礎研究を行う。多様な言語での調査に応用可能な方法を確立し、音象徴に影響を及ぼす言語の恣意性と有契性の研究の基盤固めを目標とする。
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研究実績の概要 |
R3年度に引き続き,R4年度においてもコロナ禍の影響が続いたため,主にオンラインで実施可能な内容を中心として継続的に研究を実施した。 日本語では有声阻害音のほうが無声阻害音よりも「硬い」イメージが喚起されるのに対し英語では無声阻害音のほうが有声阻害音より も「硬い」イメージが喚起されることについて,R3年度に行った実験で仮説を支持するを得ていたが,英語以外の言語についてこのことを確認するため,フランス語およびドイツ語でのオンライン実験を実施したところ,両言語ともに英語と同様の結果が得られた。すなわち日本語の音象徴傾向とは異なり,フランス語もドイツ語も,有声阻害音よりも無声阻害音のほうが「硬い」イメージを換気する傾向があることが確認された。このうち先に結果を得られたフランス語について,R4年度中に,国際認知言語学会(ICLC 16)に応募し,口頭発表として採択された。学会開催はR5年度8月である。 また,音象徴の語頭効果の日英語比較について,R3年度に実施したオンライン実験から有効な結果が得られたため,論文化し,R4年度中に国際学術誌に発表した。内容は,2音節語において,日本語は第1音節(語頭)に阻害音があるときのほうがそうでないときよりも「硬い」イメージが強く出るのに対し,英語 では第2音節に阻害音があるときのほうがそうでないときよりも「硬い」イメージが強く発生する,という現象である。このような,子音の位置による音象徴イメージの違いは,これまで国際的にも確定的な研究成果が発表されておらず,新規な発見といえる。ただし2音節語でしか確認していないため,英語で見られた効果は第2音節の子音に起因するのか,それとも語末音節の子音に起因するのかが判別できなかった。これは,さらなる確認実験を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の開始年度より,コロナ禍への影響による研究実施の遅延があった。2020年度より3年間の計画で開始した研究であるが,初年度にはコロナ禍の影響で大学での対応業務に追われ,研究がほとんど進捗せず,ほぼ1年遅れの進行状況となった。本課題の実施期間を通じてその影響が継続的に残り,2年目,3年目ともに,ほぼ1年遅れの状態で研究が進行することとなった。その結果として,R4年度の進捗状況も「やや遅れている」という評価となる。このため,R5年度まで研究機関を延長することとした。 具体的には,以下が未実施課題として残っている。 [1] R4年度までに得た成果があったが,公開に至らなかったものがある。英語・仏語・独語の話者を被験者として成果を得た阻害音の有声性による音象徴の言語間比較について,研究成果の公開をR4年度までに実施できなかった。ただし国際学会への応募までは実施した。 [2] 「語頭効果」についての日英語比較において,R4年度に論文化ができたが,そこでは実験設計が2音節語に限られていたため,3音節以上の語における分析が課題として残った。これは,本課題の申請当初からわかっていた現象ではなく本課題の研究のなかで明らかになった現象であるため,実際にはより詳しい課題設定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記(研究実績の概要,および現在までの進捗状況)で述べたように,未達成で残っている内容として,成果の公開がある。これはすでにR5年度に開催される国際学会(ICLC 16)での採択が決定しているので,R5年度には確実に実施できる予定である。 また,本課題の実施過程において発見した「語頭効果」については,一定の成果を得て論文化したが,特に英語については未解決の疑問があるため,これをさらに詳細に分析することが,R5年度の予定である。
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