研究課題/領域番号 |
20K00569
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥田 智樹 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20293722)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 意味論 / 名詞句表現 / 「義務および可能」 / 「結果」 / 「方向性」 / 「義務および可能性」 / 「必然性」 / モダリティ論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、フランス語の名詞句表現について、モダリティ的価値に注目した意味論分析を行う。言語学には伝統的に、文の構造は客観的事実を述べる部分=「命題」と話し手の主観を述べる部分=「モダリティ」からなるという考え方が存在する。(例:「雨が降るかもしれない」=「雨が降る:命題」+「かもしれない(可能性):モダリティ」)このモダリティに関する研究は、これまでは動詞を中心とする文のレベルで論じられることが多かったが、近年、名詞句のレベルでも観察されることが様々な言語で確認されている。本研究は、そうした学術的背景を踏まえて、フランス語の名詞句表現に現れるモダリティ的価値の特質を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
フランス語の「N a V型名詞句」について用法を「義務および可能」「結果」「方向性」の3つに大きく分類した上で、詳細な意味分析を行った。「義務および可能」については、義務と可能の意味の結びつきを明確にした上で、それぞれの意味が現れるメカニズムについて論じた。またa Vの部分が否定形a ne pas Vとなる場合の性質を明らかにした。「結果」については、こういったa Vの用法が名詞句以外にも見られることに注目し、当該の名詞句の成立過程について仮説を提示しその検証を行った。「方向性」については、a Vの部分をNの分類の指標とする見解を示しつつ、「義務および可能」との意味上の隣接性を指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
言語学において、モダリティ(発話において話し手の主観を述べる部分)に関する研究は、これまで動詞を中心とする文のレベルで行われることが多かったが、本研究はこれを名詞句のレベルで行うという点で、新たな学術的価値を有する。また、これまでのフランス語の名詞句表現研究の多くは、類型論的記述を目指すものや限定辞と名詞との意味的関連に注目したものであり、名詞句自体の意味内容に積極的に踏み込んだものは少なかった。本研究は、そうした方向性の研究の一つのモデルケースともなり得るものである。さらに、本研究で得られたフランス語に関する成果は、他言語の名詞句表現研究や対照言語学的研究にも貢献し得るものである。
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