研究課題/領域番号 |
20K00573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
岡村 徹 公立小松大学, 国際文化交流学部, 教授 (10288954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 言語接触 / 言語保持 / 社会言語学 / ピジン / クレオール / ナウル島 / オセアニア / オーストラリア / 言語維持 / ナウル共和国 / 危機言語 / 言語衰退 / ピジン英語 / ナウル語 / 英語 / 言語学 / 外国語 / 文化人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、オセアニア地域で話されている危機言語を研究対象とし、言語保持のための方策を探り、他の地域においても、言語盛衰に関するモデルを応用することができるかどうか検討する。そのために、南太平洋の小国ナウルで話されているナウル語およびピジン英語の文法現象を観察し、言語の安定度を調査する。両言語の文法構造が類似しておらず、かつ、社会的にも距離があることが文化的・経済的に優位な言語への収斂を回避できるということを示す。さらに、豪州ブリズベン在住のナウル人の言語生活を調査する。また必要に応じて、キャンベラにある National Archives of Australia で資料収集を行う。
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研究成果の概要 |
与えられた3年間の研究期間のうち、最初の2年間は国立公文書館等で、地道に資料収集を行った。言葉を保持するにはどうしたら良いのかを考えるうえで、人の移動の歴史を周辺から観察することができ、大変有益であった。本作業がなければ、オセアニア地域に暮らす人びとの言葉が、どのように変容を遂げていったかわからなかったと思われる。最終年度になってコロナも落ち着き、ようやく目的地の一つである豪州ブリズベンに行って、ナウル総領事館のナウル人にインタビューすることができた。そこでは主に、ナウル島のピジンと呼ばれる英語の資料を収集するだけでなく、ピジン英語の当該社会との関係性について掘り下げることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで私が提唱してきた、言語が衰退する条件としての「含意階層」と呼ばれる考え方が、ある程度オセアニア地域で検証することができたという点で満足している。これは言語使用者が政治的・経済的・社会的に抑圧されていても、それだけでは言語は衰退せず、むしろ逆に当該言語使用者の結束が固まり、安定化する場合もあり、居住環境に大きな変動がなければ、言語は保持されるということを示したものである。また、社会的には「言語は人類の知的財産」、「アイデンティティと表裏一体」といったことを書籍の刊行および講演会を通じて国内外に広く伝えることができたのは大きな収穫であった。
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