研究実績の概要 |
アルタイ型言語のアクセント研究の一環として、高さアクセントとして部分的に類似したアクセント体系を持つトルコ語と日本語大阪方言のアクセントについての研究を行なった。今年度は、大阪方言における数字を発音する際、1桁から8桁までの非負整数としての0を含んだ自然数のアクセントにどのような規則があるのかについて分析した。1~10、10~90、100~900、1,000~9,000、10,000~90,000、100,000~900,000、1,000,000~9,000,000、10,000,000~90,000,000における単独形を示したうえで、端数が付いた場合の規則性を示した。いくつか例示しておく。11~19の単独形は、10は単独形では低起式であるが、一の位が加わると高起式平板型であるH0になる。ただし、13と15は例外で、高起式頭高型のH1になる。同じく単独形が低起式である30については、そのままの型を保ち、後ろに一の位がついてもL2のままである。21~29、41~49、91~99のように単独形が高起式頭高型H1のものについては、十の位の単独形のアクセントは変わらず、後ろに一の位を付け加えるだけになる。ただし、51~59については、11~19の規則が適用される。一方で、同じ高起式でも単独形がH2である60、70、80の場合は、H0になるため、11~19の規則が適用される。 トルコ語には高起式はなく低起式になるので、式に関する対立はない。ただし、複合語規則において、端数が付いた数字における下がり目の指定がどのようになっているかを導き出すために、より複雑な体系を扱っておいた方が考えやすいので、この分析を行なった。
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