研究課題/領域番号 |
20K00595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 法政大学 (2022) 東北大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
副島 健作 法政大学, 国際文化学部, 准教授 (60347135)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アスペクト・ヴォイス / 好まれる言い回し / 認知類型論 / 音声言語 / 言語の「自然さ」,「~語らしさ」 / 言語の「自然さ」,「~語らしさ」 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,言語の「自然さ」,「~語らしさ」ということはどういうことかについて理論化し,説明を試みるものである。例えば日本語では,誰かが財布を盗んだことを「財布を盗まれた」と 受動文で言うのが自然であるが,英語では能動文,ロシア語では主語を明示しない不定人称文という構文で表現するのが自然である。これは客観世界に対する事態認識の言語化とその傾向が言語によって異なることを示している。この現象を母語話者から収集した音声資料をもとに検証し,明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は,言語の「自然さ」,「~語らしさ」ということはどういうことかについて理論化し,説明を試みるものである。すなわち,客観世界に対する事態認識の言語化とその傾向が言語によって異なる現象について考察し,構文間の連関と対立の関係に反映される話者の事態認知上のカテゴリー化の動機づけを明らかにする。具体的には,人為的行為の結果状態を表す現象を対象とし,諸言語がどのような構文を用いるのが自然かを,ビデオ発話実験という手法により母語話者から収集した音声資料をもとに検証する。音声言語における構文のあり方について意味と機能と構造の面から有機的・相関的に特徴づけて検証し,明らかにすることで,認知類型論の発展に資するとともに,その成果を外国語教育の現場へと還元することを目的とする。 今年度は,2021年度に実施した日本語母語話者インフォーマントへの実験から収集した「音声言語」におけるアスペクト・ヴォイスの現象を精査し,日本語における人為的行為の結果状態の表現の特徴についてまとめ,シンポジウムで報告を行った。その収集例についてはデータベース化を行なっており,今後,同じ事象に対する言語間の描写のし方の違いや概念的な連続性を「意味地図」としてまとめ,検討していく予定である。また,韓国語母語話者にも同様のビデオ発話実験を行い,母語話者から音声資料を収集した。引き続きデータ収集と分析,考察を行い,同一事象の描写の差異が言語間による事態の捉え方の違いに由来するか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は,2021年度に実施した日本語母語話者インフォーマントへの実験から収集したデータを基に,「音声言語」におけるアスペクト・ヴォイスの現象を精査し,日本語における人為的行為の結果状態の表現の特徴についてまとめることができた。その収集例についてはデータベース化を行なっており,今後,同じ事象に対する言語間の描写のし方の違いや概念的な連続性を「意味地図」としてまとめ,検討する準備が整った。さらに,韓国語母語話者にも同様のビデオ発話実験を行い,母語話者から音声資料を収集することができた。引き続きデータの収集と分析,考察を行い,同一事象の描写の差異が言語間による事態の捉え方の違いに由来するか検討する。 そのほか,ロシア語,エストニア語,トルコ語の母語話者を対象に実験を行い,データを収集する予定であったが,コロナ禍により留学生の入国制限や調査者の海外渡航が制限されていたこともあり,対面での小規模の実験を行うことができない状態が続いた。これらは次年度以降実施することになるが,その準備は整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本課題により作成した実験用映像を使用し,各言語ごとに以下の手順で調査・分析を進め,同一事象の描写の差異と言語間による事態の捉え方の違いとの関係について検証・理論化を行う予定である。1) 母語話者への実験の実施: ビデオ発話実験により,ある場面においてどのような表現を用いるかデータを収集する。今後は,ロシア語,エストニア語の母語話者各3-5名ずつを対象に行う予定としている。ロシア語母語話者については留学生に協力を依頼する。エストニア語については現地調査が可能か検討中である。トルコ語,英語,中国語についても年度内の実験実施を予定しているが,仮にすべての言語からデータ収集ができなかったとしても,収集ができた言語のみのデータを用いて研究を遂行することは可能である。2) 調査結果の分析・記述: 収集した用例を分析し,その表現形態と意味的特徴,多機能的拡張のありかたや言語間の描写の違いなどについて詳しく分析し,各言語の特徴をまとめる。それと同時に,アスペクトとヴォイスを統合的にとらえた「意味地図」にまとめ,普遍的な拡張の方向を明示する。3) 収集したデータの内,日本語との間で表現のズレが顕著であった場面においてどのような表現を用いるのがその言語において自然なのかを,各言語ごとに検討する。その結果を元に同一事象の描写の差異と言語間による事態の捉え方の違いとの関係について検証する。
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